大学生・専門学生がトレントの著作権侵害で請求を受けた場合|学生特有の不安と対応
トレントの著作権侵害で損害賠償を請求されたが、自分はまだ学生で収入がほとんどない。44万円や88万円を請求されて、「払えるわけがない」「親に知られたくない」「就職に影響するのか」と追い詰められている学生の方へ。学生が請求を受けた場合の特有の問題と対応を解説します。
学生のトレント利用は珍しくない
大学生や専門学校生がトレントを利用するケースは珍しくありません。
友人に勧められて使い始めた、インターネット上で「無料でダウンロードできる」と知って使った、仕組みをよく理解しないまま使っていた。
きっかけはさまざまですが、学生がトレントの著作権侵害で書面を受け取り、初めて事態の深刻さに気づくという相談は実際にあります。
1. 学生だからといって請求されないわけではない
年齢や立場は関係ない
著作権侵害に基づく損害賠償請求は、利用者が学生であっても社会人であっても同じように行われます。
「学生だから見逃してもらえるだろう」「社会人になってから請求されるだろう」ということはありません。
18歳以上であれば成人であり、自分の行為について法的な責任を負います。
自分名義の回線やスマートフォンで利用していた場合
大学生であれば、自分名義でインターネット回線やスマートフォンを契約していることがあります。
この場合、意見照会書や損害賠償請求書は自分宛てに届きます。
親に知られることなく自分だけで対応しなければならない状況になります。
親名義の回線で利用していた場合
実家暮らしや、親が契約している回線を使っていた場合は、意見照会書や請求書が親宛てに届きます。
この場合、親にトレントの利用が知られてしまう可能性が高いです。
2. 学生が最も不安に感じること
「払えるわけがない」
学生にとって最大の不安は、提示された金額を支払えないということです。
アルバイト収入しかない学生にとって、44万円や88万円は途方もない金額です。
複数社から請求が来れば合計は100万円を超えることもあります。
しかし、提示された金額は権利者側が設定した請求額であり、裁判所が認める損害賠償金額ではありません。
裁判で争えば、数万円から十数万円程度にまで減額される可能性があります。
この金額であれば、学生であっても支払える範囲に収まることがあります。
「親に知られたくない」
特にアダルト動画の著作権侵害の場合、親に知られることへの恐怖は深刻です。
自分名義の回線であれば、書面は自分宛てに届くため、親に知られずに対応を始めることは可能です。
弁護士に依頼して連絡窓口を切り替えれば、以後の書面は弁護士宛てになり、自宅に届くことはなくなります。
親名義の回線で書面が親に届いてしまった場合は、すでに知られている状態ですが、弁護士に依頼すれば以後の対応は弁護士に任せることができます。
「就職に影響するのか」
民事の損害賠償請求として解決した場合、就職活動に影響することは基本的にありません。
民事事件の記録は、企業が採用過程で参照できるものではありません。
履歴書の賞罰欄に記載する必要もありません。
ただし、刑事事件として起訴され有罪判決を受けた場合は、賞罰欄に記載する義務が生じることがあり、公務員試験や資格試験に影響する可能性があります。
だからこそ、刑事事件にしないための対応が重要です。
「退学になるのか」
トレントの著作権侵害が大学に知られた場合でも、それだけを理由に退学処分になる可能性は低いです。
ただし、大学のネットワークでトレントを利用していた場合は、大学の情報セキュリティポリシー違反として学内処分の対象になる可能性があります。
自分のスマートフォンや自宅の回線で利用していた場合、大学に知られるリスクは基本的にありません。
3. 学生が取るべき対応
提示額をそのまま支払わない
「早く終わらせたい」「親に知られる前に処理したい」と考えて、アルバイト代や貯金から提示額をそのまま支払ってしまう学生がいます。
しかし、提示額が裁判で認められる金額を大幅に上回っている可能性があります。
一度支払ってしまうと取り戻すことは極めて困難です。
支払う前に、弁護士に見通しを確認してください。
弁護士に相談する
「自分は学生だから弁護士に相談するようなことではない」と思う方がいますが、学生であっても弁護士に相談できます。
相談の段階で、提示された金額が裁判で認められる損害賠償金額と比べてどうなのかを確認できます。
親に相談すべきかどうか
親に相談すべきかどうかは状況によります。
自分名義の回線で書面が届いていて、弁護士費用を自分で支払えるのであれば、親に知らせずに対応することは可能です。
弁護士費用を自分で支払うことが困難な場合は、親に相談して費用の援助を受けるか、法テラスの民事法律扶助制度の利用を検討してください。
放置しない
「お金がないから対応できない」と思って放置することは最も危険です。
放置すれば訴訟を提起され、欠席判決で提示額がそのまま認容されるおそれがあります。
判決確定後にアルバイト先の給与が差し押さえられれば、アルバイト先にも知られます。
将来就職した後に給与差押えが行われれば、就職先にも知られます。
お金がないからこそ、放置ではなく弁護士に相談して、適正な金額で解決する方法を検討すべきです。
4. 大学のネットワークでトレントを使っていた場合
大学に知られるリスクがある
大学のキャンパス内のネットワークや大学が提供するWi-Fiでトレントを使っていた場合、回線の契約者は大学です。
開示請求が大学宛てに届けば、大学にトレントの利用が知られます。
大学のIT部門はネットワークの通信記録を監視していることが多く、トレントの特徴的な通信パターンが検知されている可能性もあります。
学内処分の可能性
大学の情報セキュリティポリシーに違反した場合、学内処分の対象になることがあります。
処分の内容は、注意、戒告、停学など、大学の規程によって異なります。
自宅やスマートフォンで利用していた場合は大学に知られない
大学のネットワークではなく、自宅の回線やスマートフォンのモバイル回線でトレントを利用していた場合、大学に知られるリスクは基本的にありません。
5. 損害額は学生でも争える
損害額の算定に年齢や収入は関係しない
損害賠償金額は、著作権法第114条に基づいて算定されるものであり、利用者の年齢や収入によって変わるものではありません。
学生であっても社会人であっても、同じ計算式で損害額が算定されます。
裁判で争えば大幅に減額される可能性がある
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。
その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
裁判で認められる金額が数万円から十数万円程度であれば、学生であっても支払える範囲に収まることがあります。
6. 弁護士費用が払えない場合
法テラスの民事法律扶助制度
収入や資産が一定の基準以下であれば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助制度を利用できる場合があります。
弁護士費用の立替払いを受けることができ、月額数千円程度の分割で返済することが可能です。
学生であれば収入基準を満たす可能性が高いです。
7. 刑事告訴への対応
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
学生の場合、刑事事件になれば就職活動に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、刑事告訴の回避は特に重要です。
まとめ
大学生・専門学生がトレントの著作権侵害で請求を受けた場合でも、適切に対応すれば解決できます。
学生であっても著作権侵害の法的責任は免除されません。
提示された金額は権利者側の設定額であり、裁判で争えば数万円から十数万円程度にまで減額される可能性があります。
この金額であれば、学生でも支払える範囲に収まることがあります。
民事で解決すれば就職活動に影響しません。
弁護士費用が払えない場合は法テラスの利用を検討してください。
放置すれば欠席判決、給与差押え、刑事告訴のリスクが高まります。
「学生だからどうしようもない」と諦めず、弁護士に相談してください。
よくある質問
学生ですが弁護士に相談できますか。
できます。学生であっても弁護士に相談し、依頼することは可能です。弁護士費用の支払いが困難な場合は法テラスの利用を検討してください。
親に知られずに対応できますか。
自分名義の回線で書面が届いている場合は、弁護士に依頼して窓口を切り替えれば、親に知られずに対応できます。親名義の回線の場合は、書面が親宛てに届くため知られる可能性が高いです。
就職に影響しますか。
民事の損害賠償請求として解決した場合、就職活動に影響することは基本的にありません。刑事事件になった場合は影響する可能性があるため、刑事告訴の回避が重要です。
44万円を請求されましたが、学生なので払えません。
提示された金額は裁判所が認める金額ではありません。裁判で争えば数万円から十数万円程度にまで減額される可能性があります。弁護士に見通しを確認してください。
大学のWi-Fiで使っていた場合、退学になりますか。
トレントの利用だけを理由に退学になる可能性は低いですが、大学の情報セキュリティポリシー違反として学内処分を受ける可能性はあります。自宅やスマートフォンで利用していた場合は大学に知られるリスクは基本的にありません。
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