トレントで届いた書面は本物か|詐欺や架空請求ではないかを確認する方法
トレントの著作権侵害に関する書面が届いたとき、「これは本物なのか」「架空請求や詐欺ではないか」と疑う方がいます。実際に、トレントの著作権侵害を装った架空請求や詐欺メールは存在します。しかし一方で、本物の書面を詐欺だと思い込んで放置してしまうと、手続が進んで不利な結果になることがあります。届いた書面が本物かどうかを確認する方法を解説します。
「詐欺かもしれない」と思う気持ちは理解できる
突然、聞いたことのない法律事務所や制作会社の名前で書面が届けば、「詐欺ではないか」と疑うのは自然な反応です。
書面には「損害賠償」「著作権侵害」「刑事告訴」といった強い言葉が並んでおり、恐怖をあおって金銭を騙し取る詐欺に見えることがあります。
しかし、トレントを利用した覚えがある方に届いた書面は、本物である可能性が高いです。
本物を詐欺と決めつけて放置することは、詐欺に騙されること以上に危険な場合があります。
1. 本物の書面の特徴
プロバイダからの意見照会書
プロバイダ(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク等)から届く「発信者情報開示に係る意見照会書」は、本物である可能性が極めて高いです。
プロバイダは、法律に基づいて契約者に意見照会を行う義務があります。
詐欺グループがプロバイダを装って意見照会書を送ることは、極めて困難です。
契約しているプロバイダの名前で届いた場合は、本物と考えてよいでしょう。
不安であれば、プロバイダの公式サイトに記載されている電話番号に問い合わせて確認できます。
裁判所からの特別送達
裁判所から届く書面は、特別送達という方法で届きます。
受取人の署名が必要であり、封筒に裁判所名が記載されています。
裁判所の名前を騙って特別送達を装う詐欺は、郵便制度の仕組み上極めて困難です。
裁判所の名前で特別送達が届いた場合は、本物と考えるべきです。
権利者側の代理人弁護士からの書面
権利者側の代理人弁護士から届く損害賠償請求書は、本物かどうかの確認が特に重要です。
確認のポイントは次のとおりです。
差出人の弁護士名と事務所名が記載されているか。
日本弁護士連合会の弁護士検索(弁護士名簿)で、記載されている弁護士名を検索して実在するか。
記載されている事務所の住所、電話番号、FAX番号が、その事務所の公式サイトと一致するか。
弁護士名簿に登録されている弁護士からの書面であれば、本物の可能性が高いです。
2. 詐欺や架空請求の特徴
メールやSMSで届く
本物の損害賠償請求は、通常、書面(郵便)で届きます。
メールやSMS(ショートメッセージ)で「著作権侵害の損害賠償を請求します」「至急ご連絡ください」といった内容が届いた場合は、詐欺の可能性があります。
ただし、権利者側の代理人弁護士が書面送付の前後にメールで連絡してくることはあり得るため、メールだけで直ちに詐欺と断定はできません。
振込先が個人名義の口座
本物の損害賠償請求であれば、振込先は弁護士名義または法律事務所名義の口座です。
振込先が個人名義の口座であったり、仮想通貨での支払いを求められたりする場合は、詐欺の可能性が高いです。
記載されている弁護士が実在しない
書面に記載されている弁護士名を日本弁護士連合会の弁護士検索で調べても見つからない場合は、架空の弁護士名を使った詐欺の可能性があります。
具体的な事実の記載がない
本物の損害賠償請求書であれば、対象作品名、通信日時、IPアドレスなど、具体的な事実が記載されています。
「あなたが著作権侵害を行ったことが判明しました」とだけ書かれていて、具体的な作品名や日時の記載がない場合は、架空請求の可能性があります。
電話をかけさせようとする
「詳細はお電話ください」として、電話番号だけが記載されている書面は、詐欺の可能性があります。
本物の書面であれば、書面自体に請求の内容が具体的に記載されており、電話をかけなくても内容が把握できます。
3. 本物の書面を詐欺と思い込んで放置するリスク
最も危険なパターン
「これは詐欺だろう」と決めつけて放置してしまうと、本物の書面であった場合に次のようなリスクがあります。
意見照会書の回答期限を過ぎる。
損害賠償請求の書面に対応しないまま、訴訟を提起される。
訴状が届いても「詐欺だから無視してよい」と考えて対応しない。
欠席判決で請求額がそのまま認容される。
判決確定後に給与差押えに至る。
本物の書面を詐欺と決めつけて放置することは、書面に書かれた金額をそのまま支払うことよりもさらに悪い結果を招くことがあります。
「詐欺かもしれない」と思ったときの対処法
書面が本物か詐欺か判断がつかない場合は、次の方法で確認してください。
書面に記載されている弁護士名を、日本弁護士連合会の弁護士検索で調べる。
記載されている事務所の公式サイトを確認し、住所や電話番号が一致するかを確認する。
プロバイダからの書面であれば、プロバイダの公式サイトに記載されている電話番号に問い合わせる。
それでも判断がつかなければ、弁護士に書面を見せて確認してもらう。
書面に記載されている電話番号に直接かけるのではなく、公式サイトに掲載されている番号に自分でかけて確認することが重要です。
詐欺の書面には偽の電話番号が記載されていることがあるためです。
4. トレントを利用した覚えがある場合は本物の可能性が高い
覚えがあるなら詐欺ではないと考えるべき
トレントを利用した覚えがある方に届いた書面は、本物である可能性が高いです。
権利者側は、監視システムでIPアドレスを記録し、プロバイダへの開示請求を経て契約者を特定しています。
このプロセスを経て届いた書面は、実際の著作権侵害に基づく請求です。
覚えがない場合でも確認すべき
トレントを使った覚えがない場合でも、同居の家族がトレントを利用していた可能性があります。
回線の契約者に書面が届くため、契約者本人がトレントを使っていなくても書面が届くことがあります。
「自分は使っていないから詐欺だ」と即断するのではなく、家族の利用の可能性も含めて確認してください。
5. 本物だった場合の対応
弁護士に相談する
本物の書面であることが確認できたら、弁護士に相談して対応方針を検討してください。
提示された金額が適正かどうかを確認し、裁判で争った場合の見通しを踏まえて判断することが重要です。
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。
その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
提示額をそのまま支払わない
本物の書面であっても、提示された金額は権利者側が設定した請求額であり、法律で決まった金額ではありません。
本物の書面=提示額を払わなければならない、ではありません。
まとめ
トレントで届いた書面が本物かどうかを確認することは重要ですが、本物を詐欺と決めつけて放置することは最も危険です。
プロバイダからの意見照会書は本物である可能性が極めて高いです。
裁判所からの特別送達は本物と考えるべきです。
弁護士からの書面は、弁護士検索で実在を確認してください。
メールやSMSだけで届く、振込先が個人名義、弁護士が実在しない、具体的事実の記載がない場合は、詐欺の可能性があります。
トレントを利用した覚えがある方に届いた書面は、本物の可能性が高いです。
本物だった場合でも、提示額が適正かどうかは別に検討すべきです。
「詐欺かもしれない」と思ったら、放置するのではなく、弁護士に書面を見せて確認してください。
よくある質問
届いた書面が詐欺かどうか分かりません。どうやって確認すればよいですか。
書面に記載されている弁護士名を日本弁護士連合会の弁護士検索で調べてください。事務所の公式サイトと住所・電話番号が一致するかも確認してください。判断がつかなければ弁護士に書面を見せてください。
メールで損害賠償を請求されました。詐欺ですか。
メールだけで届く場合は詐欺の可能性がありますが、断定はできません。メールの差出人が実在する法律事務所かどうかを確認してください。
プロバイダから届いた意見照会書は本物ですか。
契約しているプロバイダの名前で届いた意見照会書は本物である可能性が極めて高いです。不安であればプロバイダの公式サイトに記載されている電話番号で確認できます。
トレントを使った覚えがないのに書面が届きました。詐欺ですか。
同居の家族がトレントを利用していた可能性があります。回線の契約者に書面が届くため、本人が使っていなくても届くことがあります。詐欺と即断せず確認してください。
本物の書面なら提示額を払うべきですか。
本物の書面であっても、提示額は権利者側が設定した請求額であり、法律で決まった金額ではありません。弁護士に見通しを確認してから判断してください。
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