トレントで本当に逮捕されるのか|刑事告訴の予告を受けたときに知っておくべきこと

トレントで本当に逮捕されるのか|刑事告訴の予告を受けたときに知っておくべきこと

トレントの著作権侵害で権利者側から書面が届いたとき、「刑事告訴を行う予定です」「逮捕される可能性があります」と書かれていることがあります。この記載を見て「本当に逮捕されるのか」と不安になる方がほとんどです。実際に逮捕に至ったケースはあるのか、どういう場合に刑事事件になるのか、刑事告訴の予告にどう対応すべきかを解説します。

目次

「刑事告訴する」と書かれているが、本当にされるのか

トレントの著作権侵害で権利者側から届く書面には、「期限までに支払いがなければ刑事告訴を行う」という記載がされていることがあります。

権利者側の代理人弁護士からの書面には、「著作権法違反事犯として、管轄の警察署に対して刑事告訴を行う予定です」といった記載がされていることがあります。 著作権法の刑事罰(10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金)が明記されていることもあります。

この記載を見れば、誰でも「払わなければ逮捕されるのではないか」と感じます。 しかし、書面に刑事告訴の予告が書かれていることと、実際に刑事事件として捜査が始まるかどうかは、まったく別の問題です。

1. 著作権法違反の刑事罰は確かに重い

まず事実として、著作権法違反は刑事罰の対象です。

アップロード(送信可能化)については、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(著作権法第119条第1項)。 ダウンロードについては、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(著作権法第119条第3項)。

法定刑だけを見れば、軽い犯罪ではありません。 権利者側がこの刑罰を書面に記載して圧力をかけてくるのは、法定刑の重さを利用しているからです。

2. 実際に逮捕されたケースはあるのか

トレントでの逮捕事例は存在する

トレントに関連する逮捕事例はゼロではありません。 過去に、大量のファイルを長期間にわたってアップロードし続けていた利用者が逮捕された事例は報道されています。

ただし、これらの事例に共通しているのは、次のような特徴です。

大量の著作物を継続的にアップロードしていた。 営利目的や組織的な関与が疑われた。 権利者団体が警察に告訴し、警察が独自に捜査を進めた。

示談交渉の延長で逮捕されるケースは一般的ではない

一方で、「権利者側から示談の書面が届き、支払わなかったから逮捕された」というパターンで逮捕に至るケースは、一般的ではありません。

その理由は、刑事告訴から逮捕に至るまでには複数のハードルがあるからです。

3. 刑事告訴から逮捕までのハードル

告訴しただけでは捜査は始まらない

権利者が警察に刑事告訴をしたとしても、警察がすべての告訴について直ちに捜査を開始するわけではありません。 警察には告訴を受理する義務がありますが、捜査をどの程度の優先度で進めるかは警察の判断です。

1作品のダウンロードに関する告訴と、大量のファイルを組織的にアップロードしていた事案とでは、警察が割く捜査資源は異なります。

検察が起訴するかどうかも別の判断

仮に警察が捜査を行ったとしても、検察が起訴するかどうかはさらに別の判断です。 検察は、事案の悪質性、被害の規模、被疑者の前科の有無、反省の態度などを総合的に考慮して、起訴するかどうかを決めます。

初犯で、1作品の短期間の利用であれば、起訴猶予になる可能性もあります。

逮捕されるかどうかもまた別の判断

刑事事件として立件されたとしても、逮捕されるとは限りません。 逮捕は、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合に行われます。

定住所があり、身元が明確で、証拠もすでに保全されているような事案では、在宅のまま捜査が進むことがあります。

4. 権利者側が刑事告訴の予告を書く理由

交渉上の圧力

権利者側が書面に「刑事告訴を行う予定」と記載する最大の理由は、利用者に支払いを促すための圧力です。

「払わなければ逮捕されるかもしれない」という恐怖は、利用者を最も強く動かします。 権利者側はこの心理を利用して、金額の妥当性を検討する余裕を与えず、提示額どおりの支払いを急がせようとしています。

実際に告訴するかどうかは権利者側の判断

書面に「刑事告訴を行う予定」と書いていても、実際に告訴するかどうかは権利者側の判断です。 告訴には手間とコストがかかり、告訴したからといって利用者から金銭を回収できるわけではありません。

権利者側の目的はあくまで金銭の回収であり、刑事告訴はその手段の一つにすぎません。

5. だからといって「告訴されない」とは言い切れない

軽視は危険

「どうせ告訴しないだろう」と決めつけるのも危険です。

権利者によっては、支払いに応じない利用者に対して、見せしめ的に刑事告訴を行うことがないとは言い切れません。 また、権利者団体が大規模な摘発を警察に働きかけるケースもあります。

放置が最もリスクを高める

刑事告訴のリスクを最も高める行動は、書面を放置して一切対応しないことです。

放置すると、権利者側は「この利用者は反省も支払いの意思もない」と判断し、刑事告訴に踏み切る動機が強まります。

逆に、弁護士を立てて対応していれば、少なくとも「誠実に対応している」という事実が残ります。 万一告訴が行われた場合でも、弁護士を通じた対応の経緯は、検察の起訴判断において有利に考慮される可能性があります。

6. 刑事告訴の予告に動揺して言い値で払ってはいけない

恐怖で判断を歪めない

刑事告訴の予告の目的は、利用者の恐怖心を利用して、金額の妥当性を検討させずに支払わせることです。

しかし、金額が適正かどうかと、刑事告訴されるかどうかは、別の問題です。

当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。

もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。 権利者側が44万円や88万円を請求していても、適切な主張立証ができれば、裁判所がその金額をそのまま認めることにはなりません。

刑事告訴の予告を受けたからといって、主張立証の機会を放棄して言い値を支払う理由はありません。

刑事リスクへの対応も含めて弁護士に依頼する意味がある

当事務所では、これまで多数のトレント案件を取り扱う中で、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっています。 その結果、当事務所が介入した後に刑事告訴に至った案件は、これまで一度もありません。

弁護士に依頼すれば、民事の対応(損害賠償額の主張立証)と、刑事の対応(刑事告訴を回避するための交渉)を一体的に進めることができます。

7. 刑事リスクが高い場面と低い場面

リスクが相対的に高い場面

多数の作品を長期間にわたってアップロードし続けていた場合。 営利目的や組織的な関与が疑われる場合。 書面を繰り返し受け取りながら一切対応しなかった場合。 過去に同種の前科がある場合。

リスクが相対的に低い場面

対象作品が1作品で、利用期間が短い場合。 初犯で、前科がない場合。 弁護士を通じて対応している場合。 利用を停止している場合。

もっとも、「リスクが低い」は「リスクがゼロ」ではありません。 だからこそ、弁護士をつけて対応し、民事と刑事の両面でリスクを管理することが重要です。

まとめ

トレントの著作権侵害で「刑事告訴する」と書かれた書面が届いたとき、知っておくべきことは次のとおりです。

著作権法違反は刑事罰の対象であり、法定刑は軽くありません。 トレントでの逮捕事例は過去に存在しますが、大量・長期間・組織的な事案が中心です。 示談の書面を受け取って支払わなかったことだけを理由に逮捕されるケースは、一般的ではありません。 刑事告訴の予告は、交渉上の圧力として書かれていることがあります。 ただし、「告訴されない」と決めつけるのは危険であり、放置が最もリスクを高めます。 刑事告訴の予告に動揺して、金額の妥当性を検討しないまま支払うことは避けるべきです。 当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針をとっており、介入後に刑事告訴に至った案件は一度もありません。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。

恐怖で判断を歪めるのではなく、適切な主張立証ができる弁護士をつけて、民事と刑事の両面で対応を進めることが重要です。

よくある質問

トレントで逮捕されることは本当にありますか。 過去に逮捕事例はありますが、大量のファイルを長期間アップロードしていた事案が中心です。1作品を短期間利用しただけで直ちに逮捕される可能性は、一般的には低いと考えられます。ただし、ゼロとは言い切れないため、弁護士に相談して対応することが重要です。

「刑事告訴する」と書いてあるのに支払わなくて大丈夫ですか。 書面に刑事告訴の予告が書かれていることと、実際に告訴が行われるかどうかは別の問題です。ただし、放置することは避けるべきです。当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉しており、介入後に刑事告訴に至った案件はありません。

刑事告訴されたら必ず逮捕されますか。 されるとは限りません。告訴が受理されても、警察が捜査を進めるか、検察が起訴するか、逮捕の必要があるかは、それぞれ別の判断です。在宅のまま捜査が進むこともあります。

放置すると刑事告訴されやすくなりますか。 放置は、権利者側が刑事告訴に踏み切る動機を強める要因になり得ます。弁護士を通じて対応しているという事実は、権利者側にとっても告訴の判断に影響します。

請求された金額が高すぎると感じますが、刑事告訴が怖くて払うべきでしょうか。 刑事告訴の予告と、損害賠償額が適正かどうかは別の問題です。当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。恐怖で判断を歪めず、弁護士に見通しを確認したうえで対応方針を判断することが重要です。

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あいち岡崎法律事務所
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