トレントでダウンロードした作品数が多い場合はどうなるのか|作品数と損害賠償金額の関係
トレントの著作権侵害で書面が届き、「自分はかなりの数をダウンロードしてしまった」と不安を感じている方がいます。1作品や2作品ではなく、数十作品、場合によってはそれ以上ダウンロードしてしまった。作品数が多いと損害賠償金額はどうなるのか。裁判で争っても意味がないのか。作品数が多い場合の考え方を解説します。
「たくさんダウンロードしてしまった」という不安
トレントの著作権侵害に関する書面が届いた方の中には、「1作品だけではなく、かなりの数をダウンロードしてしまった」という方がいます。
その方にとっての最大の不安は、「作品数に比例して損害賠償金額がとんでもない金額になるのではないか」ということです。
権利者側の提示額が1作品44万円であれば、10作品で440万円、50作品なら2,200万円。 このような計算が頭をよぎって、身動きが取れなくなる方がいます。
しかし、この計算の前提にしている「1作品44万円」という数字は、権利者側が設定した金額であり、裁判所が認める損害賠償金額ではありません。 作品数が多い場合こそ、裁判所が認める金額との差が全体に大きく効いてきます。
1. 作品数が多いと損害賠償金額はどうなるのか
損害額は「作品数×1作品あたりの損害額」で算定される
損害賠償金額の基本は、作品数と1作品あたりの損害額の掛け算です。 作品数が多ければ、合計額は大きくなります。
ただし、1作品あたりの損害額がいくらかによって、合計額は大きく変わります。
権利者側の提示額で計算した場合
1作品44万円×10作品=440万円。 1作品44万円×50作品=2,200万円。
裁判所の認定額で計算した場合
裁判例では、1作品あたり数万円程度と認定された事案があります。
仮に1作品あたり3万円であれば、10作品で30万円、50作品でも150万円です。
権利者側の提示額で計算した2,200万円と、裁判所の認定額で計算した150万円では、1,000万円以上の差があります。
作品数が多いほど、提示額と裁判所の認定額の差は大きくなる
1作品あたりの差が40万円であれば、1作品なら40万円の差ですが、50作品なら2,000万円の差になります。
作品数が多いほど、提示額のまま支払うか裁判で争うかの判断が全体の負担に与える影響は大きくなります。
2. 作品数が多くても裁判で争う意味があるか
1作品あたりの損害額は作品数に左右されない
裁判所が著作権法第114条に基づいて算定する1作品あたりの損害額は、利用者が何作品ダウンロードしていたかによって変わるものではありません。
1作品だけダウンロードした場合も、50作品ダウンロードした場合も、各作品の損害額はそれぞれ独立に算定されます。
つまり、作品数が多いからといって、1作品あたりの損害額が加重されるわけではありません。
作品数が多い場合こそ、裁判で争う経済的メリットは大きい
1作品あたりの差額が大きいほど、作品数が多いほど、裁判で争うことによる経済的メリットは大きくなります。
1作品あたりの提示額が44万円、裁判所の認定額が3万円であれば、1作品あたり41万円の差です。 10作品なら410万円、50作品なら2,050万円の差です。
弁護士費用を含めても、この差額の大きさに比べれば微小です。
ただし、主張立証の精度が問われる
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。 作品数が多い場合でも、1作品ごとに計算式を適用して反論する必要があります。
3. 作品数が多い場合に検討すべきこと
実際に請求される作品数は、ダウンロードした作品数と同じとは限らない
自分が「かなりの数をダウンロードした」と認識していても、権利者側がすべての作品についてIPアドレスを記録しているとは限りません。
権利者側が監視しているのは、監視システムを運用している制作会社の作品だけです。 監視システムを使っていない制作会社の作品については、そもそも開示請求がなされません。
また、監視していたとしても、ログ保存期間内にプロバイダに開示請求をしなければ、契約者を特定できません。
つまり、自分がダウンロードした作品の全数と、実際に請求される作品数は、必ずしも一致しません。
複数の権利者にまたがることが多い
作品数が多い場合、複数の制作会社の作品をダウンロードしていることが多いです。 制作会社ごとに別々の代理人弁護士から請求が届くため、対応が複雑になります。
1社ずつ言い値で応じていくと、合計が膨大になります。 全体を見て一元的に対応することが重要です。
包括和解の提案がされることがある
作品数が多い場合、権利者側から個別和解ではなく包括和解を提案されることがあります。
包括和解はその権利者の全作品を対象として一括で和解するものですが、提示される金額が裁判で認められる損害賠償金額と比べて適正かどうかは、個別に検証する必要があります。
4. 作品数が多い場合でも弁護士に依頼できるか
作品数が多いことを理由に断られることはない
当事務所では、作品数が多い案件も取り扱っています。 作品数が多いからといって、対応をお断りすることはありません。
むしろ、作品数が多いほど、提示額の合計と裁判所の認定額の合計の差が大きくなるため、弁護士に依頼して裁判で争うことの経済的メリットが大きくなります。
弁護士費用について
当事務所では、何社から請求が来ても、何件訴訟になっても上限が定まっている料金体系を採用しています。 作品数が増えるたびに弁護士費用が際限なく増えるということはありません。
刑事告訴への対応
作品数が多い場合、刑事告訴のリスクをより心配される方がいます。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
5. 「多すぎてもう駄目だ」と諦めない
作品数が多いことを知って、「もう取り返しがつかない」「金額が膨大すぎてどうしようもない」と絶望する方がいます。
しかし、権利者側の提示額の合計が数百万円、数千万円に見えるとしても、裁判所が認める損害賠償金額の合計はそれよりもはるかに低い可能性があります。
提示額の合計を見て諦めるのではなく、裁判で争った場合の見通しを弁護士に確認したうえで、対応方針を判断してください。
まとめ
作品数が多い場合でも、1作品あたりの損害賠償金額は作品数に左右されません。
裁判所が認める1作品あたりの金額が数万円であれば、作品数が多くても合計額は権利者側の提示額の合計を大幅に下回る可能性があります。 作品数が多いほど、提示額と裁判所の認定額の差は全体に大きく効くため、裁判で争う経済的メリットは大きくなります。 自分がダウンロードした全数と、実際に請求される作品数は必ずしも一致しません。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
作品数が多いからと諦めず、弁護士に相談して見通しを確認することをおすすめします。
よくある質問
たくさんダウンロードしてしまいましたが、損害賠償は何千万円にもなりますか。 権利者側の提示額で計算すると高額になりますが、裁判所が認める1作品あたりの損害賠償金額は提示額よりはるかに低いことがあります。裁判で争った場合の見通しを弁護士に確認してください。
作品数が多いと1作品あたりの損害額が増えますか。 増えません。裁判所は各作品の損害額を独立に算定するため、作品数が多いからといって1作品あたりの金額が加重されることはありません。
作品数が多い場合でも裁判で争う意味はありますか。 あります。作品数が多いほど、提示額と裁判所の認定額の差が全体に大きく効くため、裁判で争う経済的メリットはむしろ大きくなります。
全部の作品について請求されるのですか。 必ずしもそうではありません。権利者側がすべての作品についてIPアドレスを記録しているとは限らず、ダウンロードした全数と実際に請求される作品数は一致しないことがあります。
作品数が多くても弁護士に依頼できますか。 依頼できます。当事務所では、何社から請求が来ても何件訴訟になっても上限が定まっている料金体系を採用しています。作品数が多いことを理由にお断りすることはありません。
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