トレントの著作権侵害で和解した後、もう請求されることはないのか|和解後に起こり得ることと注意点

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トレントの著作権侵害で和解した後、もう請求されることはないのか|和解後に起こり得ることと注意点

トレントの著作権侵害で権利者側と和解し、和解金を支払った。これで本当に終わったのか。同じ権利者から追加の請求が来ることはないのか。別の権利者から新たに請求されることはないのか。和解した後に起こり得ることと、注意すべき点を解説します。

「和解した=すべて終わった」とは限らない

権利者側と和解書を取り交わし、和解金を支払えば、その権利者との間では一定の解決が得られます。

しかし、「和解した=すべて終わった」かどうかは、和解の内容と範囲によります。 和解した後にも請求が届く可能性があるケースがあり、「終わったと思っていたのに」と困惑する方がいます。

1. 同じ権利者から追加の請求が来ることはあるか

個別和解の場合――対象作品以外は清算されていない

1作品ごとの個別和解で解決した場合、清算されるのはその和解で対象となった作品に関する債権債務だけです。

同じ権利者の別の作品についてダウンロードしていた場合、その作品については和解の対象外であるため、追加で請求が来る可能性があります。

個別和解を1作品分だけ行った後に、「実はこちらの作品についても開示が完了しました」として同じ権利者から追加の請求が届くことがあり得ます。

包括和解の場合――その権利者の全作品が対象

「依頼会社の全ての作品を対象とする包括的な和解」で解決した場合は、その権利者の全作品について清算されます。 この場合、同じ権利者から追加の請求が来ることは基本的にありません。

ただし、包括和解の範囲がどこまでかは、和解書の文言によります。 「本和解締結日までの侵害行為に限る」といった限定がついていれば、和解後に新たな侵害が発覚した場合は対象外です。

2. 別の権利者から新たに請求が来ることはあるか

和解は当事者間のもの

和解の効力は、和解した当事者間にしか及びません。

A社と和解したからといって、B社やC社からの請求が消えるわけではありません。 トレントで複数の制作会社の作品をダウンロードしていた場合、A社と和解した後に、B社から別途請求が届くことは十分にあり得ます。

いつ届くかは予測できない

別の権利者からの請求がいつ届くかは予測できません。 A社との和解が完了してから数週間後に届くこともあれば、数か月後、あるいは1年以上経ってから届くこともあります。

「もう来ないだろう」と安心していたところに届くことがあるため、A社と和解した段階で「全体としていつまでリスクが残るのか」を弁護士に確認しておくことが重要です。

3. 和解書の清算条項を確認する

清算条項の範囲

和解書には通常、「本和解条項に定めるもの以外に何らの債権債務がないことを相互に確認する」という清算条項が含まれています。

この条項の範囲は、和解で対象となった事項に限られます。 対象外の作品や、別の権利者との関係には効力が及びません。

清算条項があれば、同じ権利者からの蒸し返しは防げる

清算条項が適切に記載されていれば、同じ権利者が同じ作品(または包括和解の範囲内の作品)について、後から追加の請求をしてくることは法的に認められません。

和解書の文言は権利者側が作成するテンプレートであることが多いですが、清算の範囲が明確に記載されているかどうかは、署名前に確認すべき点です。

4. 刑事告訴のリスクは和解で消えるか

和解条項に「刑事告訴しない」旨の記載がある場合

和解条項に「本件に関して刑事告訴を行わない」という記載がある場合、和解が履行されれば(和解金が全額支払われれば)、その権利者が刑事告訴を行わないという約束になります。

分割払いの場合の注意点

分割払いで和解した場合、「期限の利益を喪失することなく全て履行したとき」に刑事告訴を行わないという条件になっていることがあります。

つまり、分割払いの途中で1回でも支払いが遅れると、刑事告訴しないという約束が適用されなくなる可能性があります。

別の権利者の刑事告訴は対象外

A社と和解して「刑事告訴しない」という条件がついていても、B社の刑事告訴を止める効力はありません。

5. 和解した後に気をつけること

トレントを絶対に使わない

和解した後に再びトレントを使えば、新たな著作権侵害として、再度の開示請求・損害賠償請求・刑事告訴の対象になります。

しかも、過去に和解した経歴がある状態での再犯は、権利者側にとっても、検察にとっても、厳しい評価を下す材料になります。

秘密保持条項を守る

和解条項に秘密保持条項が含まれている場合、和解の存在や内容を第三者に話してはいけません。 インターネット上の掲示板やSNSに和解の内容を書き込むことも、秘密保持義務に違反するおそれがあります。

別の権利者からの請求に備える

和解した権利者以外の権利者から追加の請求が届く可能性がある場合、その見通しを弁護士に確認しておくことが重要です。

1社目に言い値で和解した後に2社目が届き、「もうお金がない」という状況を避けるためです。

6. そもそも、その金額で和解すべきだったのか

和解後に振り返って「払いすぎだったのではないか」と感じる方がいます。

権利者側の提示額は法律で決まった金額ではなく、裁判で争えば大幅に減額される可能性があったかもしれません。

当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。

もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。

すでに1社と和解済みであっても、2社目以降の請求については、今から弁護士に依頼して裁判で争うことが可能です。

当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。

まとめ

トレントの著作権侵害で和解した後も、「すべて終わった」とは限りません。

個別和解の場合、同じ権利者の別の作品について追加請求が来る可能性があります。 別の権利者からの請求は、和解の効力が及ばないため、新たに届くことがあります。 清算条項の範囲を確認し、同じ権利者からの蒸し返しが防げているかを確認してください。 刑事告訴しないという条件は、和解金の完済が前提であり、分割払いの遅延で適用されなくなることがあります。 和解後はトレントを使わないこと、秘密保持条項を守ることが重要です。

1社と和解済みであっても、2社目以降の請求については今から弁護士に依頼して対応することが可能です。 全体の見通しを弁護士に確認したうえで、今後の対応方針を判断することをおすすめします。

よくある質問

和解したのに、同じ権利者からまた請求が来ました。なぜですか。 個別和解の場合、清算されるのは対象作品だけです。同じ権利者の別の作品についてダウンロードしていた場合、追加の請求が来ることがあります。

別の権利者から新たに請求が届くことはありますか。 あります。和解の効力は和解した当事者間にしか及びません。A社と和解しても、B社からの請求は別の問題です。

和解すれば刑事告訴はされませんか。 和解条項に「刑事告訴しない」旨の記載があり、和解金を全額支払えば、その権利者からの刑事告訴は行われないのが通常です。ただし、分割払いの遅延で条件が適用されなくなることがあります。また、別の権利者の刑事告訴は対象外です。

1社目にすでに和解してしまいました。2社目からも同じ金額を払うしかないですか。 2社目以降については、今から弁護士に依頼して裁判で争うことが可能です。当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。

和解の内容をSNSに書いてもよいですか。 和解条項に秘密保持条項が含まれている場合、和解の存在や内容を第三者に開示することは義務違反になるおそれがあります。

お問い合わせ
あいち岡崎法律事務所
〒444-0864 愛知県岡崎市明大寺町字的場13-1 My Station Okazaki East 601
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