トレントを使っていたのが未成年の子供だった場合|親が請求を受けたときの対応

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トレントを使っていたのが未成年の子供だった場合|親が請求を受けたときの対応

トレントの著作権侵害でプロバイダから意見照会書が届いたが、トレントを使っていたのは自分ではなく未成年の子供だった。インターネット回線の契約者は親である自分の名前になっている。この場合、親が損害賠償を払わなければならないのか。子供の行為について親にどこまで責任があるのかを解説します。

「自分は使っていないのに、なぜ親の自分に届くのか」

意見照会書や請求書は、インターネット回線の契約者に届きます。 家庭のインターネット回線は親名義で契約していることが多いため、実際にトレントを使っていたのが子供であっても、書面は親宛てに届きます。

書面を見た親は、「自分は何もしていないのに」「子供がやったことなのに、なぜ自分に請求が来るのか」と困惑します。

しかし、この状況でどう対応すべきかは、子供の年齢、親の監督責任、損害額の妥当性といった複数の問題を整理して考える必要があります。

1. 契約者=利用者ではないことをどう主張するか

意見照会書の段階

意見照会書が届いた段階では、権利者側は「このIPアドレスを使っていた契約者」の情報を求めているだけです。 契約者が実際にトレントを使っていたかどうかは、開示の段階では問われていません。

開示された後、損害賠償請求の段階になってから、「実際に利用していたのは契約者本人ではなく、同居の子供である」という事実が問題になります。

「子供がやった」と主張するだけでは足りない

「自分はやっていない、子供がやった」という主張は、具体的な裏づけがなければ通りにくいです。

同居している以上、同じ回線を使っており、IPアドレスからは誰が使っていたかを区別できません。 「子供がやった」と主張するのであれば、子供が実際にトレントを使っていたことを裏づける事実(子供のパソコンにソフトがインストールされていた、子供自身が認めている等)を示す必要があります。

2. 未成年の子供の行為について、親はどこまで責任を負うのか

子供に責任能力がある場合(おおむね12歳以上)

民法第712条は、未成年者が他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識する能力(責任能力)がなかったときは、その行為について賠償責任を負わないと定めています。

裁判例上、責任能力はおおむね12歳前後で認められるとされています。

トレントを利用していた子供が中学生以上であれば、子供自身に責任能力があると評価される可能性が高いです。 この場合、子供自身が不法行為に基づく損害賠償責任を負います。

子供に責任能力がある場合、親は直ちに責任を負わない

子供自身に責任能力がある場合、親は民法第714条(責任無能力者の監督義務者の責任)に基づく責任を直ちに負うわけではありません。

ただし、親が子供のインターネット利用を適切に監督していなかったことが、民法第709条(一般の不法行為)に基づく親自身の過失と評価される余地はあります。

子供に責任能力がない場合(おおむね12歳未満)

子供に責任能力がない場合は、監督義務者である親が民法第714条に基づいて損害賠償責任を負うことがあります。

ただし、監督義務を怠らなかったこと、またはその義務を怠らなくても損害が生じたであろうことを立証すれば、親の責任は否定されます。

実際の事案ではどうなるか

トレントの事案で未成年者の利用が問題になった場合、子供の年齢、インターネット利用に対する親の監督状況、トレントのインストール経緯などが総合的に考慮されます。

いずれにしても、権利者側が提示する金額をそのまま支払うべきかどうかは、親の責任の有無とは別に検討する必要があります。

3. 損害額は誰が利用していても争える

権利者側の提示額が適正とは限らない

仮に親が責任を負う場合であっても、権利者側の提示額をそのまま支払う必要があるかどうかは別問題です。

権利者側の提示額は法律で決まった金額ではなく、裁判で認められる損害額とは大きな開きがあることがあります。

当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。

もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。

子供が利用していた場合でも、損害額の主張立証は同じ

損害額の算定方法は、利用者が成人か未成年かにかかわらず同じです。 著作権法第114条に基づく計算式と、裁判例に照らした見通しをもとに、提示額の妥当性を検証します。

4. 子供がトレントを使っていたことを知ったときにすべきこと

トレントの利用を直ちに停止させる

子供がまだトレントを使っている場合は、直ちに利用を停止させてください。 ソフトが自動起動設定になっている場合は、アンインストールしてください。 利用を続ければ、送信可能な状態にしている期間が延び、損害額が増える可能性があります。

子供から事実関係を確認する

いつ頃からトレントを使い始めたのか。 どの作品をダウンロードしていたのか。 誰かに勧められて使い始めたのか。 ソフトは誰がインストールしたのか。

これらの情報は、対応方針の検討に必要です。 子供を責める前に、冷静に事実を確認してください。

データを削除しない

子供のパソコンからトレント関連のデータを慌てて削除しないでください。 利用状況を確認できるデータは、損害額の主張立証に役立つことがあります。

弁護士に相談する

親の責任の範囲、損害額の見通し、刑事リスクの有無を含めて、弁護士に相談して対応方針を整理してください。

当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。

5. 「子供のしたことだから大したことにはならない」は危険

子供がやったことだから権利者側も大目に見てくれるだろう、と期待するのは危険です。

権利者側にとっては、利用者が成人か未成年かにかかわらず、著作権侵害によって損害が発生していることに変わりはありません。 未成年だからといって請求が軽くなることを保証するものは何もありません。

逆に、「子供がやったから親は関係ない」と放置すれば、権利者側の手続は契約者である親に対して進みます。 訴訟が提起されれば訴状が自宅に届き、対応しなければ欠席判決で請求額がそのまま認容されるおそれがあります。

まとめ

トレントを使っていたのが未成年の子供だった場合でも、書面は親に届き、対応が必要です。

子供に責任能力がある場合(おおむね12歳以上)、子供自身が損害賠償責任を負い得ます。 子供に責任能力がない場合、親が監督義務者として責任を負うことがあります。 いずれの場合も、権利者側の提示額をそのまま支払うべきかどうかは別に検討する必要があります。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。

子供のトレント利用が発覚したら、まずは利用を停止させ、データを削除せず、事実関係を整理したうえで、弁護士に相談して対応方針を判断してください。

よくある質問

子供がトレントを使っていた場合、親が損害賠償を払うのですか。 子供の年齢や親の監督状況によります。子供に責任能力がある場合(おおむね12歳以上)は子供自身が責任を負い得ますが、親の監督義務が問題になることもあります。弁護士に相談して、ご自身の事案での責任の範囲を確認してください。

子供がやったことだから請求額は安くなりますか。 利用者が未成年であること自体を理由に請求額が安くなるという法的な規定はありません。ただし、損害額の算定方法は成人の場合と同じであり、裁判で争えば提示額より大幅に減額される可能性があります。

子供が逮捕されることはありますか。 過去に未成年者がトレントで逮捕された事例は報道されていますが、一般的ではありません。当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針をとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。

子供のパソコンのデータを消した方がよいですか。 消さない方がよいです。利用状況を確認できるデータは、損害額の主張立証に役立つことがあります。

子供にどう話せばよいですか。 まずは責めるのではなく、冷静に事実関係を確認してください。いつから使っていたのか、どの作品をダウンロードしていたのか、ソフトは誰がインストールしたのかといった情報が、対応方針の検討に必要です。

お問い合わせ
あいち岡崎法律事務所
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