トレントで請求された金額の内訳が分からない|「調査費用」「弁護士費用」まで払う必要があるのか
トレントの著作権侵害で権利者側から届いた請求書に、損害賠償だけでなく「調査費用」「弁護士費用」「手続費用」が含まれていることがあります。「損害額に加えてこれも払わないといけないのか」と疑問に感じるのは当然です。それぞれの項目が法的にどう評価されるのか、裁判で全額が認められるのかを解説します。
請求書に書かれている「内訳」は何なのか
権利者側からの請求書には、損害賠償額として一定の金額が提示されています。 しかし、その金額の内訳を見ると、作品の利用に関する損害だけでなく、「調査費用」「弁護士費用」「手続費用」といった項目が含まれていることがあります。
たとえば、「発信者情報の特定のために要した調査費用」「開示手続に要した弁護士費用」「損害賠償請求を行うまでに発生した付随的な手続費用」といった記載です。
権利者側の書面には、「その額は決して小さなものではありません」と記載されていることもあります。
しかし、これらの費用がすべて法的に認められるかどうかは、別の問題です。
1. 「調査費用」は全額認められるとは限らない
権利者側が主張する調査費用
権利者側は、トレントの利用者を特定するために、監視システムの運用費用、IPアドレスの調査費用などを主張することがあります。
裁判所の判断
裁判所は、調査費用を損害として認めることがありますが、権利者が主張する全額をそのまま認めるとは限りません。
調査費用は、著作権侵害がなければ発生しなかった費用であるため、侵害と相当因果関係のある損害として認められる場合があります。 しかし、その金額が合理的な範囲を超えていると判断されれば、全額は認められません。
特に、権利者側が組織的に大量の開示請求を行っている場合、1人あたりの調査費用として請求される金額が、実際にかかったコストと比べて高額に設定されている可能性があります。
2. 「弁護士費用」はどの程度認められるのか
権利者側の弁護士費用
権利者側は、開示手続や損害賠償請求を代理人弁護士に依頼しており、その費用を利用者に請求してくることがあります。
裁判所の判断
不法行為に基づく損害賠償請求では、弁護士費用の一部が損害として認められることがあります。 裁判例では、認容された損害額の約10%程度が弁護士費用として認められる傾向があります。
たとえば、裁判所が認めた損害額が5万円であれば、弁護士費用として認められるのは約5,000円です。
権利者側が「弁護士費用として20万円」と主張していても、裁判所が認める金額はこれとは大きく異なることがあります。
3. 権利者側の請求額の構成を検証する必要がある
一括の定額で提示されている場合
権利者側の中には、損害賠償・調査費用・弁護士費用を区別せず、一括の定額(たとえば44万円や88万円)で請求してくる事務所があります。
この場合、そもそも内訳が示されていないため、各項目がそれぞれいくらなのか、その金額に根拠があるのかを利用者側で検証することができません。
内訳が示されている場合でも
内訳が示されていても、各項目の金額が合理的かどうかは、個別に検証が必要です。
「調査費用30万円」と記載されていたとしても、その30万円の根拠が示されていなければ、裁判所がそのまま認めるとは限りません。
4. 裁判で争えば、認められる金額は変わる
裁判所は各項目を厳密に認定する
裁判で争った場合、裁判所は損害額の各項目をそれぞれ検証します。
作品の損害額:著作権法第114条に基づいて算定。 調査費用:合理的な範囲で認定。 弁護士費用:認容額の約10%程度。
当事務所の主張立証
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
作品の損害額が下がれば、それに連動して弁護士費用として認められる金額も下がります。 損害額の主張立証が、請求全体の減額に直結するということです。
5. 「付随的な費用も含めて全額払うべき」ではない
権利者側の書面は圧力を与える書き方になっている
権利者側の書面には、「調査費用や弁護士費用など付随的な手続費用も発生しており、その額は決して小さなものではありません」といった記載がされていることがあります。
この記載は、利用者に対して「損害額だけでなく、それ以上の金額を払う義務がある」と思わせるための書き方です。
しかし、付随的な費用を含めた全額が法的に認められるかどうかは、裁判所が判断することです。 権利者側が書面に書いた金額をそのまま受け入れる必要はありません。
裁判で争えば全体が検証される
裁判で争えば、損害額も、調査費用も、弁護士費用も、すべて裁判所が個別に検証します。 権利者の言い値の合計をそのまま認めるのではなく、法的に認められる範囲で損害額を認定します。
よほどの作品数を長期間にわたってダウンロードしていたような事情がない限り、裁判で争う方が得策であることが多いです。
まとめ
トレントの著作権侵害で請求される金額には、作品の損害だけでなく、調査費用や弁護士費用が上乗せされていることがあります。
しかし、これらの費用が全額認められるとは限りません。 調査費用は合理的な範囲に限定されることがあり、弁護士費用は認容額の約10%程度にとどまる傾向があります。 権利者側が一括の定額で請求している場合、内訳自体が不明であり、各項目の根拠を検証することができません。
裁判で争えば、裁判所が各項目を個別に検証し、法的に認められる範囲で損害額を認定します。
当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
請求書の金額をそのまま受け入れる前に、弁護士に相談して見通しを確認することをおすすめします。
よくある質問
「調査費用」は払わないといけませんか。 調査費用は、著作権侵害と相当因果関係のある損害として認められる場合がありますが、権利者が主張する全額がそのまま認められるとは限りません。裁判所は合理的な範囲で認定します。
「弁護士費用」はどのくらい認められますか。 裁判例では、認容された損害額の約10%程度が弁護士費用として認められる傾向があります。権利者側が主張する弁護士費用がそのまま認められるわけではありません。
請求書に内訳が書いてありません。全額払うしかないですか。 内訳が示されていない一括の定額請求であれば、各項目の根拠を検証することができません。裁判で争えば、裁判所が各項目を個別に検証して損害額を認定します。
調査費用を含めると請求額が大きくなりますが、裁判で争えば下がりますか。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。作品の損害額が下がれば、弁護士費用として認められる金額も連動して下がります。
権利者側が「手続費用は決して小さくない」と書いていますが、本当ですか。 権利者側の書面の記載は、利用者に支払いを促すための書き方です。付随的な費用を含めた全額が法的に認められるかどうかは、裁判所の判断によります。書面の記載をそのまま受け入れる必要はありません。
お問い合わせ
あいち岡崎法律事務所
〒444-0864 愛知県岡崎市明大寺町字的場13-1 My Station Okazaki East 601
電話:0564-73-3487
FAX:050-3172-6485
受付時間:平日9:00〜17:00
アクセス:名鉄東岡崎駅南口徒歩30秒
