トレントで権利者側から請求書が届いたらどうすればよいのか|金額の見極め方と対応の判断基準
トレントの著作権侵害で、発信者情報の開示後に権利者側の代理人弁護士から損害賠償請求の書面が届いたとき、何を確認し、何をしてはいけないのか。意見照会書とは違い、この段階では権利者側はすでにあなたの氏名・住所を把握しています。提示額が高額な場合も低額な場合も、判断の基準は同じです。書面が届いたときにすべきことを解説します。
意見照会書とは違う書面が届いた
トレントの著作権侵害に関しては、まずプロバイダから意見照会書が届き、その後に権利者側の代理人弁護士から損害賠償請求の書面が届くという流れが一般的です。
意見照会書の段階では、まだ権利者側にあなたの個人情報は渡っていないことがあります。 しかし、代理人弁護士から請求書が届いたということは、すでにあなたの氏名・住所が権利者側に開示されているということです。
この書面を見て、多くの方がまず感じるのは「すぐに払わないといけないのか」「無視したらどうなるのか」「家族に知られるのか」という不安です。
しかし、この段階で最も重要なのは、提示された金額が適正なのかどうかを見極めることです。
1. 書面が届いたらまず確認すべきこと
差出人の確認
書面がどの法律事務所から届いているのか、どの権利者(制作会社等)の代理人なのかを確認します。 権利者や代理人事務所によって、提示する金額や交渉方針が異なります。
請求金額と対象作品の確認
いくらの金額が請求されているのか、どの作品が対象なのか、対象作品は何作品なのかを確認します。
権利者側の提示額は、権利者側が独自に設定した金額です。 法律で決まった金額ではありません。 同じ代理人事務所が、時期によって金額を引き上げていることもあります。
回答期限の確認
書面に回答期限が設定されている場合があります。 権利者側が一方的に設定した期限であり、法律で決められた期限ではありませんが、放置することは推奨しません。
刑事告訴に関する記載の確認
「支払わなければ刑事告訴する」という記載があるかどうかを確認します。 この記載があっても、直ちに逮捕されるわけではありません。 ただし、放置が刑事告訴のリスクを高めることはあります。
2. 提示額が高額な場合の判断
44万円や88万円と提示された場合
権利者側の代理人の中には、1作品44万円、包括和解88万円といった高額の提示をしてくる事務所があります。 しかも、個別の条件交渉に応じる保証はなく、弁護士を立てて交渉しても金額が動かないことがあります。
この場合、選択肢は「提示額をそのまま支払う」か「裁判で争う」かになります。
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
弁護士費用を含めても、44万円や88万円をそのまま支払うより総額が低くなるケースは十分にあり得ます。 よほどの作品数を長期間にわたってダウンロードしていたような事情がない限り、裁判で争う方が得策であることが多いです。
3. 提示額が低額に見える場合の判断
1作品8.8万円と提示された場合
最近では、権利者側が1作品あたり8.8万円といった比較的低額の個別和解を持ちかけてくるケースも出てきています。
この金額だけを見ると「安いから払ってしまおう」と感じるかもしれません。 しかし、8.8万円はあくまで1作品あたりの金額です。
トレントを利用していた方の多くは、1作品だけでなく複数の作品をダウンロードしています。 8.8万円の個別和解を5作品分応じれば44万円、10作品分なら88万円です。 1作品あたりの金額が低く見えても、作品数が積み上がれば全体の負担は大きくなります。
個別和解に1件ずつ応じることのリスク
1作品ごとに個別和解に応じていくと、全体でいくらになるのかが見えにくくなります。 1社目に8.8万円で応じ、2社目にも応じ、3社目にも応じ……と続くうちに、合計額が数十万円に膨らむことがあります。
しかも、1件応じると「この人は払う人だ」と認識される可能性があり、他の権利者からの請求にも応じやすい心理的な流れができてしまいます。
全体の見通しを立てることが重要
1作品あたりの提示額が低額であっても、全体でいくらになるのかを把握しなければ、合理的な判断はできません。
当事務所では、著作権法第114条に基づく主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。 1作品あたりの裁判所の認定額が数万円であれば、8.8万円の個別和解でも裁判で争った方が有利になることがあります。
作品数が多い場合こそ、1件ずつ言い値で応じるのではなく、全体の見通しを弁護士に確認したうえで対応方針を決めることが重要です。
4. 書面が届いてからやってはいけないこと
不安から提示額をすぐに支払ってしまうこと
書面を読んで不安になり、「早く終わらせたい」と思って提示額をそのまま支払ってしまう方がいます。
しかし、一度支払ってしまうと、後から「払いすぎだった」と気づいても返還を求めることは極めて困難です。 支払う前に、提示額が裁判で認められる損害額と比べて適正かどうかを確認する必要があります。
自分で権利者側に連絡すること
「謝れば許してもらえるのではないか」「自分で話せば安くなるのではないか」と考えて、権利者側の代理人に直接電話する方がいます。
しかし、事実関係が整理できていない段階で連絡すると、不用意な発言をしてしまったり、後から説明を変えにくくなったりすることがあります。
書面を放置すること
提示額が高すぎると感じても、だからといって何もせず放置するのは危険です。
放置すれば、権利者側が訴訟を提起する可能性があります。 弁護士に依頼していなければ、訴状が自宅に届き、同居の家族に知られるリスクが高まります。 判決後に給与差押えに至れば、職場にも知られることになります。
関連するデータやソフトを慌てて削除すること
不安から、トレント関連のソフトやダウンロードしたファイルを急いで削除する方がいます。 しかし、事実関係の確認が十分にできていない段階で削除してしまうと、自分がどの作品をいつダウンロードしていたのかが分からなくなり、後の対応に支障が出ることがあります。
5. この段階で弁護士に相談する意味
提示額が高額でも低額でも、全体の見通しを立てる
弁護士に相談する最大の意味は、提示額をそのまま支払うべきか、裁判で争うべきかの判断材料を得ることです。
当事務所では、著作権法第114条に基づく計算式と裁判例を踏まえて、裁判で争った場合にどの程度の損害額になるかの見通しを提示しています。 そのうえで、弁護士費用を含めた総額と提示額を比較し、どちらが依頼者にとって有利かを検討します。
特に、複数の権利者から請求が来ている場合や、今後増える可能性がある場合は、1件ずつ応じるのではなく、全体の見通しを立てたうえで対応方針を決めることが重要です。
連絡窓口の切り替え
弁護士に依頼すれば、以後の権利者側との連絡はすべて弁護士が窓口になります。 自宅への書面や電話がなくなり、同居のご家族に知られるリスクを減らせます。
刑事告訴の回避
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっています。 その結果、当事務所が介入した後に刑事告訴に至った案件は、これまで一度もありません。
まとめ
トレントで権利者側から請求書が届いたとき、最も重要なのは提示額が適正かどうかを見極めることです。
提示額が44万円や88万円といった高額の場合、裁判で争えば大幅に減額される可能性があります。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
提示額が1作品8.8万円といった低額に見える場合でも、作品数が増えれば全体の負担は大きくなります。 1件ずつ言い値で応じるのではなく、全体の見通しを立てたうえで判断することが重要です。
いずれの場合も、不安に駆られてすぐに支払ったり、逆に放置したりすることは避けるべきです。 まずは書面の内容を確認し、弁護士に相談して見通しを把握したうえで、対応方針を判断することをおすすめします。
よくある質問
提示額をそのまま支払うべきですか。 提示額が適正かどうかは、裁判で認められる損害額と比較して判断する必要があります。高額な提示であれば裁判で争った方が得策なことが多いです。低額に見えても作品数が多ければ全体は大きくなるため、全体の見通しを弁護士に確認することをおすすめします。
1作品8.8万円と言われましたが、安いから払った方がよいですか。 8.8万円はあくまで1作品あたりの金額です。作品数が増えれば全体の負担は大きくなり、10作品なら88万円です。1作品あたりの裁判所の認定額が数万円であれば、8.8万円でも裁判で争った方が有利になることがあります。全体の見通しを弁護士に確認したうえで判断することが重要です。
44万円と言われましたが、裁判で争えば安くなりますか。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも10万円未満から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。弁護士費用を含めても、44万円をそのまま支払うより総額が低くなるケースは十分にあり得ます。
書面を無視するとどうなりますか。 放置すると、権利者側が訴訟を提起する可能性があります。弁護士に依頼していなければ訴状が自宅に届き、同居の家族に知られるリスクが高まります。判決後に給与差押えに至れば職場にも知られます。
請求書が届いた段階からでも弁護士に依頼できますか。 できます。弁護士に依頼すれば、以後の連絡窓口が弁護士になり、自宅への書面や電話を止めることができます。そのうえで、提示額の妥当性を検証し、対応方針を判断することになります。
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