株式会社CONTからトレントの著作権侵害で請求が届いた|請求の特徴と対応の考え方
トレントの著作権侵害で「株式会社CONT」の名前が記載された書面が届いた方へ。株式会社CONTはAV制作会社であり、トレントによる著作権侵害について発信者情報の開示請求を積極的に行っている権利者の一つです。この権利者からの請求にどう対応すべきかを解説します。
株式会社CONTとは
株式会社CONTは、アダルトビデオの制作会社です。
自社が著作権を有する作品がトレントで共有されていることについて、発信者情報の開示請求を行い、損害賠償を請求しています。
代理人としてITJ法律事務所(弁護士法人ITJ法律事務所)が就いていることがありますが、株式会社CONTとITJ法律事務所が常にセットであるとは限りません。
1. 株式会社CONTの開示請求の特徴
1回の開示命令で複数の動画が含まれていることがある
株式会社CONTの開示請求では、1回の開示命令申立ての中に複数の動画(4本等)が含まれている事例があります。
各動画について数十件のIPアドレスが記載されているため、開示命令の決定書に添付されている発信者情報目録には、100件を超えるIPアドレスが並んでいることがあります。
一覧のIPアドレスは全部自分のものではない
発信者情報目録に記載されているIPアドレスは、そのファイルを共有していた利用者全員のIPアドレスです。
自分に関係するのはそのうちのごく一部です。
「こんなに大量にアクセスした覚えはない」と驚く方がいますが、一覧のほとんどは自分とは無関係の他の利用者のIPアドレスです。
動画が複数本含まれていても、自分への請求は一部だけのことがある
開示命令の申立てに動画が複数本含まれていても、自分のIPアドレスが記録されている動画はそのうちの一部だけ、ということがあります。
権利者側は複数の動画をまとめて1回の開示命令で申し立てます。
手続のコストと手間が抑えられるためです。
しかし、書面を受け取った側から見ると、申立書がそのまま送られてくるため、「これだけの動画について全部請求される」と誤解しやすい構造になっています。
自分のIPアドレスが実際にどの動画に含まれているのかを正確に確認することが重要です。
2. 株式会社CONTの代理人がITJ法律事務所の場合
ITJ法律事務所の請求方式
ITJ法律事務所が代理人を務めている場合、個別和解と包括和解の2つの選択肢が提示されることがあります。
個別和解:1作品ごとの定額。時期によって金額が変更されており、当初1作品22万円→44万円に変更。
包括和解:全作品を対象とした定額。55万円→77万円→88万円に変更。
低額の個別和解(1作品8.8万円等)が提示されることもありますが、作品数が多ければ合計は高額になります。
個別の条件交渉に応じないと公表している
ITJ法律事務所は「弁護士を通じて交渉であっても、和解金額の減額等は行っておりません」と自社サイトで公表しています。
交渉で金額が動かない以上、「提示額で和解する」か「裁判で争う」かの判断になります。
3. 提示された金額は適正なのか
裁判で認められる損害賠償金額との比較
株式会社CONTから提示される金額が裁判で認められる損害賠償金額と比べて適正かどうかは、個別に検証する必要があります。
裁判例では、トレントの著作権侵害について、1人あたり数万円程度しか認容されなかった事案があります。
知財高裁令和4年4月20日判決では、1人あたり約1万6,000円から6万円台が認容されました。
東京地裁令和5年8月31日判決では、権利者が278万円を超える損害を主張したのに対し、裁判所が認めた金額は3万円を超えない水準にとどまりました。
提示額と裁判所の認定額の開き
個別和解44万円や包括和解88万円に対して、裁判所の認定額が数万円程度であれば、その差は数十万円に達します。
8.8万円の低額個別和解であっても、裁判所の認定額が数万円であれば、裁判で争った方が有利になることがあります。
4. 書面が届いた段階ですべきこと
書面をすべて保管する
通知書、開示命令の決定書、発信者情報目録(別紙)、封筒のすべてを保管してください。
大量のIPアドレスに動揺しない
発信者情報目録に何十件ものIPアドレスが並んでいても、自分に関係するのはごく一部です。
一覧の読み方を理解すれば、不必要な不安を抱えずに済みます。
提示額をそのまま支払わない
提示された金額が裁判で認められる損害賠償金額と比べてどうなのかを確認してから判断すべきです。
弁護士に相談する
書面の内容を正確に読み取り、自分が実際にどの動画にどの程度関与しているのかを特定し、損害額の見通しを立てることは、弁護士に依頼して行うべき作業です。
弁護士に依頼すれば、以後の連絡窓口が弁護士になり、自宅への書面を止めることができます。
5. 株式会社CONTとの和解で清算される範囲
個別和解の場合
個別和解に応じた場合、対象となった作品についてのみ清算されます。
同じ株式会社CONTの他の作品や、別の権利者の作品は清算されません。
包括和解の場合
包括和解に応じた場合、株式会社CONTが著作権を有するすべての作品について清算されます。
同じ権利者から後日追加請求が来るリスクは解消されます。
他の権利者からの請求は対象外
いずれの和解であっても、株式会社CONT以外の権利者の作品は清算されません。
別の制作会社から追加の請求が届く可能性は残ります。
6. 裁判で争うという選択肢
交渉で下がらないなら裁判で争う
代理人がITJ法律事務所であり、交渉で金額が動かないのであれば、裁判で争って裁判所に著作権法第114条に基づく適正な損害賠償金額を認定してもらうことが現実的な選択肢です。
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。
その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
利用者側から債務不存在確認訴訟を提起することも検討できる
権利者側が訴訟を提起するのを待つだけでなく、利用者側から先に債務不存在確認訴訟を提起し、利用者の住所地の裁判所で審理を進めるという選択肢もあります。
7. 刑事告訴への対応
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
まとめ
株式会社CONTからトレントの著作権侵害で請求が届いた場合、提示された金額をそのまま受け入れる前に確認すべきことがあります。
開示命令の発信者情報目録に並ぶ大量のIPアドレスは、利用者全員のものであり、自分に関係するのはごく一部です。
動画が複数本含まれていても、すべての動画に自分のIPアドレスが含まれているとは限りません。
代理人がITJ法律事務所の場合、個別和解と包括和解が提示されますが、減額交渉には応じないと公表されています。
裁判例では1人あたり数万円程度の損害しか認容されなかった事案があり、提示額と裁判所の認定額には大きな開きがあることがあります。
株式会社CONTとの和解が完了しても、別の権利者からの請求は清算されません。
当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
書面が届いた段階で弁護士に相談し、対応方針を判断することをおすすめします。
よくある質問
株式会社CONTとは何の会社ですか。
アダルトビデオの制作会社です。トレントによる著作権侵害について発信者情報の開示請求と損害賠償請求を行っています。
開示命令の書面にIPアドレスが100件以上載っています。全部自分ですか。
全部ではありません。対象ファイルを共有していた利用者全員のIPアドレスが記載されており、自分に関係するのはそのうちのごく一部です。
動画が4本載っていますが、4本分の損害賠償を払うのですか。
すべての動画に自分のIPアドレスが含まれているとは限りません。自分が実際にどの動画に関与しているかを弁護士と確認してください。
株式会社CONTの請求額は適正ですか。
裁判例との比較が必要です。裁判例では1人あたり数万円程度しか認容されなかった事案があり、提示額との間に大きな開きがある可能性があります。弁護士に見通しを確認してください。
株式会社CONTと和解すればもう請求は来ませんか。
株式会社CONTの作品については清算されますが、別の権利者からの追加請求は対象外です。
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