トレントで権利者側の書面に書かれた回答期限を過ぎてしまった|今からでも対応できるのか
トレントの著作権侵害で権利者側から届いた書面に「1週間以内にご回答ください」「期限内にご連絡がなければ法的手続に移行します」と記載されていたが、その期限を過ぎてしまった。「もう手遅れなのか」「すぐに訴訟を起こされるのか」と焦っている方へ。期限を過ぎた場合に何が起きるのか、今からでもできることを解説します。
期限を過ぎても手遅れではない
権利者側の書面に記載されている回答期限は、権利者側が一方的に設定した期限です。 法律で定められた期限ではありません。
期限を過ぎたからといって、直ちに訴訟が提起されたり、刑事告訴されたり、強制執行が行われたりするわけではありません。
期限を過ぎてしまったことで不安になり、さらに対応が遅れるという悪循環に陥る方がいますが、今からでも対応は可能です。
1. 権利者側の書面に書かれている期限とは何か
権利者側が設定した回答期限
権利者側からの損害賠償請求の書面には、「本書到着後1週間以内にご連絡ください」「〇月〇日までにご回答ください」といった期限が記載されていることがあります。
中には「期限内にご回答がなければ、やむを得ず法的手続に移行いたします」「訴訟を提起いたします」と記載されているものもあります。
この期限は法律で決められたものではない
この期限は、権利者側が自分で設定したものであり、法的な拘束力はありません。
「1週間以内」という期限を権利者側が決めたからといって、1週間を過ぎた時点で自動的に何かが起きるわけではありません。
「法的手続に移行する」と書いてあるが
「期限内に回答がなければ法的手続に移行する」と記載されていても、期限を過ぎたからといって直ちに訴訟を提起しているとは限りません。
権利者側が実際に訴訟を提起するかどうかは、期限の経過だけで決まるものではなく、権利者側の方針や個別の事情によります。
2. 期限を過ぎた場合に実際に何が起きるか
すぐには何も起きないことが多い
期限を過ぎた後、すぐに訴訟が提起されるケースはそれほど多くありません。
権利者側は大量の案件を同時に処理しているため、1件の回答期限が過ぎたからといって、直ちにその案件だけを訴訟に切り替えることは、コストと手間の面で現実的ではありません。
督促の書面や電話が届くことがある
期限を過ぎると、権利者側から追加の書面(「最後通告書」等)が届いたり、電話がかかってきたりすることがあります。
書面のトーンは回を追うごとに強くなることがありますが、これも権利者側が設定した催促であり、法的な効力が変わるわけではありません。
放置が長引けばリスクは上がる
期限を数日過ぎた程度であれば、実務上大きな問題にはなりにくいです。
しかし、何か月も放置し続ければ、権利者側が「交渉では解決できない」と判断して訴訟を提起する可能性は徐々に高まります。
期限を過ぎたこと自体は致命的ではありませんが、放置し続けることにはリスクがあります。
3. 期限を過ぎた今からすべきこと
弁護士に相談する
期限を過ぎてしまった場合でも、弁護士に相談して対応を始めることは可能です。
弁護士に依頼すれば、権利者側に受任通知を送付し、以後の連絡窓口を弁護士に切り替えることができます。 受任通知が届けば、権利者側は弁護士を通じてやり取りを行うようになり、自宅への督促の書面や電話は止まります。
提示額をそのまま支払わない
期限を過ぎたことで焦り、「遅れた分だけ不利になるのではないか」「早く払って終わらせたい」と考えて提示額をそのまま支払ってしまう方がいます。
しかし、期限を過ぎたことと、提示額が適正かどうかは別の問題です。 期限を過ぎたからといって、提示額を上回る金額を支払う義務が生じるわけではありません。
権利者側の提示額が裁判で認められる損害賠償金額と比べて適正かどうかは、期限の前でも後でも変わらず検証すべきです。
権利者側に自分で連絡しない
期限を過ぎたことを焦って、弁護士に相談する前に自分で権利者側に電話やメールで連絡してしまう方がいます。
しかし、事実関係が整理できていない段階で連絡すると、不用意な発言をしてしまうリスクがあります。 まずは弁護士に相談して、対応方針を決めてから動くべきです。
4. 期限を過ぎたことで損害額が増えるのか
期限超過自体で損害額は増えない
権利者側が設定した回答期限を過ぎたこと自体を理由に、損害賠償金額が増額されるわけではありません。
損害額はあくまで著作権法第114条に基づいて算定されるものであり、回答期限を守ったかどうかは損害額の算定に影響しません。
遅延損害金が問題になることはある
損害賠償の遅延損害金は、不法行為の日から発生するものであり、回答期限の経過とは関係ありません。 回答期限を過ぎたことで遅延損害金の起算日が変わるわけではありません。
当事務所の対応
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
期限を過ぎた後であっても、損害額の主張立証は問題なく行えます。
5. 刑事告訴のリスクについて
期限を過ぎたら刑事告訴されるのか
「期限内に回答がなければ刑事告訴する」と記載されている書面もあります。
しかし、回答期限を過ぎたからといって、直ちに刑事告訴が行われるとは限りません。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
期限を過ぎた後であっても、弁護士が介入することで刑事告訴のリスクを管理できます。
まとめ
権利者側の書面に書かれた回答期限を過ぎてしまった場合でも、手遅れではありません。
書面に記載されている期限は、権利者側が一方的に設定したものであり、法律で決められた期限ではありません。 期限を過ぎたからといって、直ちに訴訟が提起されたり、損害賠償金額が増額されたりするわけではありません。 期限を過ぎたことで焦って提示額をそのまま支払ったり、自分で権利者側に連絡したりすることは避けるべきです。 弁護士に依頼すれば、今からでも連絡窓口を切り替え、対応方針を検討することができます。
ただし、放置し続ければ訴訟を提起されるリスクは徐々に高まるため、期限を過ぎたことに気づいた段階で、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。
よくある質問
回答期限を過ぎてしまいました。もう手遅れですか。 手遅れではありません。権利者側が設定した期限であり、法律で決められた期限ではないため、期限を過ぎた後でも弁護士に相談して対応を始めることは可能です。
期限を過ぎたらすぐに訴訟を起こされますか。 直ちに訴訟が提起されるとは限りません。ただし、放置し続ければ訴訟のリスクは徐々に高まります。期限を過ぎたことに気づいた段階で、早めに弁護士に相談してください。
期限を過ぎたら損害賠償金額が増えますか。 回答期限を過ぎたこと自体を理由に損害賠償金額が増額されるわけではありません。損害額は著作権法第114条に基づいて算定されるものであり、回答期限を守ったかどうかは影響しません。
期限を過ぎたら刑事告訴されますか。 直ちに刑事告訴が行われるとは限りません。当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針をとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
今から弁護士に依頼しても間に合いますか。 間に合います。弁護士に依頼すれば、権利者側に受任通知を送付して連絡窓口を切り替えることができます。期限を過ぎた後であっても、損害額の主張立証は問題なく行えます。
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