トレントの開示請求で弁護士を選ぶときに確認すべきこと|事務所によって対応方針は大きく異なる
トレントの著作権侵害で書面が届き、「弁護士に相談しよう」と決めた後、次の問題は「どの弁護士に依頼すべきか」です。トレント案件を扱う法律事務所は複数ありますが、事務所によって対応方針は大きく異なります。示談金が高すぎると感じている方にとって、どの弁護士を選ぶかは最終的な支払額に直結します。弁護士を選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。
弁護士なら誰でも同じではない
トレントの著作権侵害は、著作権法第114条の計算式、裁判例の蓄積、権利者側の代理人事務所ごとの請求傾向など、専門的な知識と経験が必要な分野です。
弁護士であれば誰でも同じ結果が出るわけではなく、対応方針の違いが最終的な支払額や解決の内容に大きく影響します。
1. 対応方針の違い――早期示談か、裁判で争うか
早期示談を勧める事務所
トレント案件を扱う法律事務所の中には、権利者側の提示額で早期に示談することを基本方針としている事務所があります。
この場合、弁護士がやっているのは、連絡窓口の切り替えと、権利者側の提示額での和解手続の代行です。
権利者側が個別の条件交渉に応じないと公表している場合、弁護士を立てて交渉しても金額が動かないことがあります。
金額が動かないのに弁護士費用が加算されるだけであれば、依頼者にとっての利益は連絡窓口の切り替えだけになりかねません。
裁判で争うことを視野に入れている事務所
権利者側の提示額が裁判で認められる損害賠償金額と比べて適正かどうかを検証し、適正でなければ裁判で争うことを視野に入れている事務所もあります。
この場合、弁護士は著作権法第114条に基づく計算式を使って反論を組み立て、裁判所に適正な損害賠償金額を認定してもらう主張立証を行います。
方針の違いが結果に直結する
提示額が44万円で、裁判で争えば数万円に下がるような事案であれば、早期示談か裁判かの方針の違いは、数十万円の差になります。
弁護士を選ぶ段階で、この方針の違いを確認することが重要です。
2. 弁護士に確認すべき5つのポイント
裁判で争った場合の見通しを具体的に示してくれるか
「早く示談した方がいい」としか言わず、裁判で争った場合にどの程度の損害賠償金額になるかの見通しを示さない事務所は、提示額の妥当性を検証していない可能性があります。
著作権法第114条の計算式と裁判例に基づいて、「この事案であれば裁判で争った場合に〇万円程度になる見込みがある」と具体的な数字を示してくれるかどうかを確認してください。
「示談金相場」を前提にしていないか
「示談金の相場は〇〇万円」という説明を前提にしている事務所は、権利者側の設定額を適正な水準として扱っている可能性があります。
「相場」は権利者側の設定額にすぎず、裁判所が認める損害賠償金額ではありません。
この区別を理解したうえで対応方針を提案しているかどうかを確認してください。
「減額交渉」の実績は本当に交渉の結果か
「減額交渉で示談金を下げました」と謳う事務所がありますが、権利者側が個別の条件交渉に応じていないのであれば、「減額」ではなく権利者側が設定した金額の範囲内で和解しているだけの可能性があります。
実際に交渉で金額が動いたのか、裁判で争って裁判所に減額を認めさせたのかを確認してください。
刑事告訴の予告を利用して早期示談を急がせていないか
「すぐに示談しないと刑事告訴される」「逮捕される前に示談すべき」という説明は、恐怖で判断を歪めるものです。
刑事告訴のリスクと、損害賠償金額が適正かどうかは別の問題です。
この2つを分けて対応方針を提案しているかどうかを確認してください。
弁護士本人が対応しているか
トレント案件を扱う事務所の中には、相談から契約まで事務員のみが対応し、弁護士と直接話す機会がないまま契約に至るケースがあるようです。
弁護士法第72条は、弁護士でない者が法律事務を取り扱うことを禁止しています。
相談の段階で弁護士本人と話せるかどうかを確認してください。
3. 弁護士費用の比較だけで選ばない
弁護士費用が安い=総額が安いとは限らない
弁護士費用が安くても、権利者側の提示額をそのまま支払う方針であれば、弁護士費用+提示額の合計が最終的な負担になります。
弁護士費用が高くても、裁判で争って損害賠償金額が大幅に下がれば、弁護士費用を含めた総額が、安い弁護士費用+提示額の合計を下回ることがあります。
弁護士費用だけでなく、弁護士費用を含めた最終的な支払総額で比較することが重要です。
追加費用の有無を確認する
2社目以降の請求が届いた場合や、訴訟に発展した場合に追加費用が発生するかどうかも確認すべきです。
1社ごとに別途費用がかかる場合、複数社からの請求があると弁護士費用だけで相当な額になることがあります。
4. 当事務所の対応方針
当事務所では、権利者側の提示額をそのまま受け入れることは推奨していません。
著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行い、裁判所に適正な損害賠償金額を認定してもらうことを基本方針としています。
その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
何社から請求が来ても、何件訴訟になっても上限が定まっている料金体系を採用しています。
5. 他の事務所に依頼中でも変更は可能
すでに他の事務所に依頼している場合
他の事務所に依頼したが、対応方針に納得できない、弁護士と話せない、提示額のまま示談するよう言われているといった場合、弁護士の変更は可能です。
弁護士との契約は委任契約であり、事件が終了する前であればいつでも解除できます。
変更を検討している場合は、新しい弁護士に現在の状況を伝えたうえで、相談してください。
まとめ
トレントの開示請求で弁護士を選ぶ際には、事務所の対応方針を確認することが最も重要です。
早期示談を勧める事務所と、裁判で争うことを視野に入れている事務所では、最終的な支払額が大きく異なることがあります。
裁判で争った場合の見通しを具体的に示してくれるかどうかを確認してください。
「示談金相場」を前提にしていないか、刑事告訴の予告で示談を急がせていないかにも注意してください。
弁護士費用だけでなく、弁護士費用を含めた最終的な支払総額で比較してください。
すでに他の事務所に依頼中でも、弁護士の変更は可能です。
弁護士選びに迷ったら、まずは相談の段階で上記のポイントを確認してみてください。
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