トレントの意見照会書に不同意で返送したらどうなるのか|不同意でも開示されることはあるのか
トレントの著作権侵害でプロバイダから届いた意見照会書に「不同意」で返送した。これで開示を防げたのか、それともまだ開示される可能性があるのか。不同意で返送した後に何が起きるのか、その後の流れと対応について解説します。
不同意で返送すれば開示を防げるのか
意見照会書に「不同意」で返送すれば、自分の個人情報が権利者側に渡ることはないと考えている方が多いです。
しかし、不同意で返送したからといって、開示が確実に防げるわけではありません。
不同意で返送した場合にどうなるかは、権利者側がどのような手続で開示を求めているかによって異なります。
1. テレコムサービス協会書式による任意の開示請求だった場合
不同意であれば、プロバイダは任意に開示しないことが多い
テレコムサービス協会書式による開示請求は、裁判所を通さない任意の手続です。 この場合、利用者が不同意で回答すれば、プロバイダは任意に開示しないことが多いです。
ただし、その後に開示命令を申し立てられる可能性がある
不同意の回答を受けた権利者側は、次のステップとして、裁判所に対して開示命令の申立てを行うことができます。
開示命令の申立ては裁判手続であり、裁判所が開示すべきかどうかを判断します。 裁判所が開示命令を発令すれば、利用者が不同意で回答していたかどうかにかかわらず、プロバイダは開示する義務を負います。
つまり、任意の開示請求に対して不同意で返送しても、権利者側が裁判所に申し立てれば、結局開示される可能性があるということです。
2. すでに開示命令が申し立てられていた場合
意見照会書の段階で、すでに裁判所への申立てが済んでいることがある
意見照会書が届いた時点で、権利者側がすでに裁判所に開示命令の申立てを行っている場合があります。
この場合、意見照会書への回答は、裁判所が開示命令を出すかどうかの判断材料の一つにすぎません。 不同意で返送しても、裁判所が開示命令を発令すれば、開示は行われます。
不同意の回答は開示を阻止する決定打にはならない
開示命令の申立てが行われている場合、裁判所は、著作権侵害の蓋然性、開示の必要性、プライバシーとの比較衡量などを踏まえて判断します。
トレントの事案では、監視システムによるIPアドレスの記録やタイムスタンプといった客観的な証拠が提出されていることが多く、裁判所が開示命令を発令するケースは少なくありません。
不同意の回答が「開示すべきではない」という裁判所の判断に直結するとは限りません。
3. 不同意で返送した後に起きること
しばらく何も届かない期間がある
不同意で返送した後、しばらくの間は何も届かないことがあります。
この期間は、権利者側が開示命令の申立てを行い、裁判所が判断を行っている期間であることが多いです。 「不同意で返送したから終わった」と安心していると、数か月後に突然権利者側からの請求書が届くということがあり得ます。
開示が行われれば請求書が届く
裁判所の開示命令によって個人情報が開示された場合、その後は同意で返送した場合と同じ流れになります。 権利者側から損害賠償請求の書面が届きます。
4. 不同意で返送したことのメリット
開示までに時間を稼げることがある
不同意で返送した場合、権利者側が任意の開示をあきらめるケースもあれば、開示命令の申立てに進むケースもあります。 開示命令の申立てに進む場合、裁判所の判断が出るまでに時間がかかることがあります。
この間に弁護士に依頼して対応方針を整理しておくことができます。
請求対象の作品数が絞られる可能性がある
同意で返送した場合、プロバイダが契約者情報を開示するため、権利者側は把握しているすべての作品についてまとめて請求しやすくなります。
一方、不同意で返送した場合、権利者側は開示命令を作品ごとに申し立てる必要があり、手間とコストがかかります。 そのため、すべての作品について開示命令を申し立てるとは限らず、結果として請求対象の作品数が絞られる可能性があります。
5. 不同意で返送した後にすべきこと
「終わった」と思わない
不同意で返送したことで開示を完全に阻止できたとは限りません。 「もう何も届かないだろう」と安心して放置するのは危険です。
弁護士に相談しておく
不同意で返送した後であっても、弁護士に相談して今後の見通しを確認しておくことは可能です。
開示命令が出た場合にどう対応するか、請求書が届いた場合にどう争うかを事前に整理しておけば、書面が届いたときに慌てずに対応できます。
弁護士に依頼すれば、権利者側に受任通知を送付して連絡窓口を切り替え、自宅への書面を止めることもできます。
請求が届いた場合は損害額を争う
開示が行われて請求書が届いた場合でも、権利者側の提示額をそのまま支払う必要はありません。
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
まとめ
意見照会書に不同意で返送しても、開示が確実に防げるわけではありません。
任意の開示請求に対して不同意で返送した場合、プロバイダは任意には開示しないことが多いですが、権利者側が裁判所に開示命令を申し立てれば、開示される可能性があります。 すでに開示命令が申し立てられていた場合は、不同意で返送しても裁判所の判断で開示が行われることがあります。 不同意で返送したことにより、開示までに時間を稼げたり、請求対象の作品数が絞られたりする可能性はあります。
不同意で返送した後も「終わった」と思わず、今後の対応方針を弁護士に確認しておくことをおすすめします。 開示が行われて請求書が届いた場合でも、損害額の主張立証は問題なく行えます。
よくある質問
不同意で返送すれば開示されませんか。 任意の開示請求に対しては、プロバイダが開示しないことが多いです。ただし、権利者側が裁判所に開示命令を申し立てれば、不同意であっても開示される可能性があります。
不同意で返送した後、何も届かなくなりました。もう終わりですか。 終わりとは限りません。権利者側が開示命令を申し立てている可能性があり、裁判所の判断が出るまでに数か月かかることがあります。「もう来ないだろう」と安心するのは早い場合があります。
不同意で返送した方が同意で返送するより有利ですか。 不同意の方が、開示までに時間を稼げる可能性や、請求対象の作品数が絞られる可能性があります。ただし、開示を完全に防げる保証はなく、開示後の対応は同意・不同意にかかわらず同じです。
不同意で返送した後に開示されて請求が届いた場合、損害額を争えますか。 争えます。当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
不同意で返送した段階で弁護士に相談すべきですか。 相談しておくことをおすすめします。開示命令が出た場合や請求書が届いた場合の対応方針を事前に整理しておけば、慌てずに対応できます。弁護士に依頼すれば、連絡窓口を切り替えて自宅への書面を止めることも可能です。
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