トレントの示談金を払わないとどうなるのか|放置した場合に起きることを時系列で解説
トレントの著作権侵害で示談金を請求されたが、「払わなかったらどうなるのか」が一番気になるところです。示談金が高すぎて払えない、金額に納得できない、放っておけば相手が諦めるのではないか。示談金を払わなかった場合に、時系列で何が起きるのかを解説します。なお、「払わない」といっても、放置することと、弁護士を通じて裁判で争うことは全く異なる対応です。
「払わない」には2つの意味がある
トレントの示談金を「払わない」という選択には、2つの全く異なる意味があります。
放置して何も対応しない。
提示額をそのまま払うのではなく、弁護士を通じて裁判で争い、裁判所が認める適正な損害賠償金額で解決する。
以下では、まず放置した場合に何が起きるかを時系列で解説し、その後、裁判で争うという選択肢について説明します。
1. 放置した場合に起きること
最初の数週間:督促の書面が届く
権利者側が設定した回答期限を過ぎても何の対応もしなければ、追加の書面が届きます。
「再通知書」「催告書」「最後通告書」といったタイトルで、「期限内にご回答がなかったため、改めてご連絡いたします」「法的手続に移行する準備を進めています」といった記載がされています。
書面のトーンは回を追うごとに強くなることがあります。
1か月から3か月:電話での督促
書面と並行して、権利者側の代理人弁護士から電話がかかってくることがあります。
家族が電話に出てしまえば、その時点で家族に知られる可能性があります。
3か月から1年:訴訟提起の可能性
督促を続けても応答がなければ、権利者側が訴訟を提起する可能性があります。
すべての案件で訴訟が提起されるわけではありませんが、提起される可能性はあります。
どのタイミングで提起するかは権利者側の判断であり、利用者側からは予測できません。
訴訟提起後:訴状が届く
訴訟が提起されると、裁判所から自宅に訴状が特別送達で届きます。
特別送達は受取人の署名が必要であり、封筒に裁判所名が記載されています。
同居の家族が受け取れば、裁判になっていることが知られます。
訴状を放置した場合:欠席判決
訴状が届いた後、答弁書を提出せず、期日にも出頭しなければ、欠席判決が出されます。
欠席判決では、権利者側の請求額がそのまま認容されるおそれがあります。
弁護士が対応していれば数万円から十数万円程度にまで減額できたかもしれない損害賠償金額が、欠席判決では44万円や88万円のまま確定してしまうということです。
判決確定後:支払いを求められる
判決が確定すると、権利者側は確定判決に基づいて支払いを求めてきます。
この段階でも支払いをしなければ、次の段階に進みます。
最終段階:強制執行(給与差押え等)
確定判決に基づいて支払いがなされなければ、権利者側は裁判所に強制執行を申し立てます。
最も典型的な強制執行は、給与差押えです。
給与差押えが実行されると、裁判所から勤務先に差押命令が送達されます。
勤務先は、差し押さえられた金額分を本人に支払わず、権利者側に直接支払うことになります。
勤務先にトレントの著作権侵害で判決を受けたことが知られます。
2. 放置した場合の最悪のシナリオをまとめる
権利者側からの書面を放置。
督促の書面が自宅に届き、家族に知られる。
電話がかかってくる。
訴訟を提起される。
訴状が自宅に届き、家族に知られる。
答弁書を出さず欠席判決。
権利者側の提示額がそのまま確定。
確定判決後も支払わない。
給与差押えで勤務先に知られる。
放置を続けた結果、家族にも勤務先にも知られ、弁護士に依頼していれば数万円で解決できた問題が、数十万円の判決と給与差押えに至るという結果になり得ます。
3. 放置と「裁判で争う」は全く違う
放置=何もしない
放置とは、書面にも訴状にも対応せず、弁護士にも相談しないまま時間が過ぎることです。
放置の結果は、上述のとおり、欠席判決と給与差押えのリスクです。
裁判で争う=弁護士を通じて適正な金額で解決する
「示談金を払わない」という選択は、「何もしない」という意味ではありません。
権利者側の提示額が裁判で認められる損害賠償金額と比べて高すぎる場合、提示額をそのまま払うのではなく、裁判で争って適正な金額で解決するという選択があります。
この場合、弁護士に依頼して対応します。
権利者側との連絡は弁護士が窓口になり、自宅に書面は届かなくなります。
訴訟になっても弁護士が対応し、欠席判決にはなりません。
著作権法第114条に基づく主張立証を行い、損害賠償金額の減額を目指します。
4. 示談金の「相場」をそのまま払う必要はない
「トレント 示談金相場」として紹介されている金額は権利者側の設定額
インターネット上で「示談金相場」として紹介されている金額(1作品22万円から44万円、包括和解55万円から88万円等)は、権利者側が設定した請求額を並べたものにすぎません。
裁判所が認める損害賠償金額の「相場」ではありません。
裁判所が認める損害賠償金額は大幅に異なることがある
知財高裁令和4年4月20日判決では、1人あたり約1万6,000円から6万円台が認容されました。
東京地裁令和5年8月31日判決では、権利者が278万円を超える損害を主張したのに対し、裁判所が認めた金額は3万円を超えない水準にとどまりました。
「示談金相場」として紹介されている金額と、裁判所が認める金額には、何倍もの開きがあることがあります。
示談金が高すぎると感じたら、その感覚は正しい
示談金が高すぎると感じているなら、その感覚は裁判例に照らして正しい可能性があります。
高すぎると感じたまま放置するのではなく、弁護士に相談して、裁判で争った場合の見通しを確認してください。
5. 裁判で争った場合の見通し
当事務所の実績
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。
その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
弁護士費用を含めても提示額を下回ることがある
弁護士費用を含めた支払総額が、権利者側の提示額を大幅に下回る場合があります。
当事務所では、何社から請求が来ても、何件訴訟になっても上限が定まっている料金体系を採用しています。
6. 刑事告訴のリスク
放置すれば刑事告訴のリスクも高まる
権利者側からの書面を放置し、何の対応もしていない状態は、権利者側にとって「民事では解決できない」と判断する理由になり得ます。
民事の対応をしないこと自体が、刑事告訴のリスクを高めます。
弁護士が対応していれば刑事告訴のリスクは低くなる
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
弁護士が民事の対応を進めていれば、権利者側が刑事告訴に踏み切る可能性は低くなります。
まとめ
トレントの示談金を払わないとどうなるかは、「放置」するか「裁判で争う」かによって全く異なります。
放置した場合は、督促、訴訟、欠席判決、給与差押えと段階的に状況が悪化します。
裁判で争う場合は、弁護士が対応し、著作権法第114条に基づく主張立証を行い、損害賠償金額の減額を目指します。
「示談金相場」は権利者側の設定額にすぎず、裁判所が認める損害賠償金額とは大幅に異なることがあります。
示談金が高すぎると感じたら、放置するのではなく、弁護士に相談して裁判で争った場合の見通しを確認してください。
放置は、欠席判決、給与差押え、家族や勤務先への発覚、刑事告訴のリスクを高めます。
「払わない」という判断をするなら、「放置」ではなく「裁判で争う」を選んでください。
よくある質問
示談金を払わなかったらすぐに裁判になりますか。
すぐにはなりません。まず督促の書面や電話が来ます。その後、権利者側の判断で訴訟が提起されることがあります。ただし、いつ提起されるかは予測できません。
示談金を放置したら給料を差し押さえられますか。
放置して欠席判決が確定し、その後も支払わなければ、給与差押えに至ることがあります。弁護士に依頼して対応していれば、欠席判決を防げます。
示談金を払えない場合はどうすればよいですか。
提示された金額を払う必要がない可能性があります。裁判で争えば数万円から十数万円程度にまで減額されることがあり、この金額であれば払える場合もあります。弁護士に見通しを確認してください。
示談金が高すぎると思いますが、交渉で下がりますか。
権利者側が交渉に応じない場合があります。交渉で下がらなければ、裁判で争って裁判所に適正な損害賠償金額を認定してもらうことが現実的な選択肢です。
放置と裁判で争うことの違いは何ですか。
放置は何もしないことで、欠席判決や給与差押えのリスクがあります。裁判で争うことは弁護士を通じて適正な金額での解決を目指すことであり、欠席判決にはならず、損害賠償金額の減額が見込めます。
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