トレントの著作権侵害で警察から連絡が来た場合|事情聴取を求められたときの対応
トレントの著作権侵害に関して、権利者側の代理人弁護士からの書面だけでなく、警察から連絡が来ることがあります。「警察から電話がかかってきた」「出頭を求められた」「任意の事情聴取をしたいと言われた」。このような場合、どう対応すべきなのかを解説します。
警察からの連絡は、代理人弁護士からの書面とは別物
権利者側の代理人弁護士から届く損害賠償請求の書面は、民事の問題です。
お金を請求する手続であり、それ自体は刑事手続ではありません。
一方、警察から連絡が来た場合は、刑事手続として捜査が行われている可能性があります。
この2つは全く別の手続であり、対応も異なります。
1. 警察から連絡が来る理由
権利者側が刑事告訴を行った可能性
警察から連絡が来る理由として最も多いのは、権利者側が刑事告訴を行い、警察がこれを受理して捜査を開始した場合です。
著作権法違反は親告罪であり、被害者(権利者)の告訴がなければ捜査機関は捜査を開始できません。
警察から連絡が来たということは、権利者側が実際に刑事告訴を行った可能性が高いです。
サイバーパトロールで発覚した可能性
権利者の告訴がなくても、警察がサイバーパトロール等の活動でトレントの著作権侵害を認知し、捜査を開始することがあり得ます。
ただし、著作権法違反は親告罪であるため、最終的には権利者の告訴がなければ起訴はできません。
2. 警察から連絡が来た場合にすべきこと
まず弁護士に連絡する
警察から連絡が来た場合、最も重要なのは、警察に対応する前に弁護士に連絡することです。
警察からの電話に対して、その場で事実関係を話したり、出頭の日時を決めたりする前に、弁護士に連絡して対応方針を相談してください。
警察からの連絡内容をメモする
警察からの電話を受けた場合、次の情報をメモしてください。
いつ電話がかかってきたか(日時)。
どの警察署のどの課の誰からの電話か。
用件は何か(任意の事情聴取、出頭要請等)。
指定された日時があるか。
これらの情報を弁護士に伝えてください。
「弁護士に相談してから対応します」と伝える
警察からの電話に対しては、「弁護士に相談してから改めてご連絡します」と伝えてください。
任意の事情聴取や任意の出頭であれば、応じる義務はありません。
「弁護士に相談してから」と言うことは、法的に問題のない対応です。
3. 事情聴取に応じる場合の注意点
任意の事情聴取と逮捕は異なる
警察から「事情を聞きたい」と言われた場合、それが任意の事情聴取であれば、逮捕されたわけではありません。
任意の事情聴取は、あくまで任意であり、応じる義務はありません。
ただし、正当な理由なく長期間にわたって事情聴取を拒否し続けると、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕状が請求される可能性が高まります。
弁護士と一緒に出頭する
事情聴取に応じる場合は、弁護士と一緒に出頭することをおすすめします。
弁護士が同行していれば、取調べの際に不用意な発言をしてしまうリスクを減らせます。
弁護士が立ち会うことで、取調べが適正に行われているかを確認できます。
黙秘権がある
事情聴取に応じた場合でも、すべての質問に答える義務はありません。
憲法第38条第1項は、自己に不利益な供述を強要されない権利(黙秘権)を保障しています。
何を話すべきか、何を話すべきでないかは、弁護士と相談してから判断してください。
供述調書に署名する前に弁護士に確認する
事情聴取の後、警察が供述調書を作成することがあります。
供述調書には、あなたが話した内容が警察官の言葉でまとめられています。
その内容が正確かどうかを確認し、不正確な部分があれば訂正を求めてください。
署名する義務はなく、内容に納得できなければ署名を拒否することもできます。
供述調書に一度署名してしまうと、後から「そんなことは言っていない」と主張しても覆すのは困難です。
4. 逮捕された場合
逮捕された場合は直ちに弁護士に連絡する
トレントの著作権侵害で逮捕されることは一般的ではありませんが、可能性がゼロではありません。
逮捕された場合は、直ちに弁護士に連絡してください。
逮捕された本人から連絡ができない場合は、家族から弁護士に連絡してもらってください。
逮捕後の流れ
逮捕された場合、48時間以内に検察官に送致され、検察官が24時間以内に勾留を請求するかどうかを判断します。
勾留が認められれば、最長20日間身柄を拘束されることがあります。
弁護士がついていれば、勾留に対する準抗告や、早期の身柄解放に向けた活動を行えます。
5. 警察からの連絡を防ぐには
弁護士に依頼して刑事告訴を回避する
警察からの連絡を防ぐ最も有効な方法は、権利者側が刑事告訴を行わないように弁護士が交渉することです。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
弁護士が介入して民事の対応を進めていれば、権利者側が刑事告訴に踏み切る可能性は低くなります。
放置が最もリスクが高い
権利者側からの書面を放置し、何の対応もしていない状態は、権利者側にとって「民事では解決できない」と判断する理由になり得ます。
刑事告訴は、民事での解決が見込めない場合の手段として使われることがあるため、民事の対応をしないこと自体が刑事告訴のリスクを高めます。
6. 民事と刑事の両方に対応する必要がある
同時に進むことがある
権利者側が民事の損害賠償請求と刑事告訴を同時に行っている場合、民事の裁判と刑事の捜査が並行して進むことがあります。
この場合、民事の対応(損害額の主張立証)と刑事の対応(取調べへの対応、弁護活動)の両方を行う必要があります。
弁護士に一括して依頼する
民事と刑事の両方について、同じ弁護士に依頼することができます。
事案の事実関係を一元的に把握している弁護士が対応する方が、整合性のある対応ができます。
当事務所では、著作権法第114条に基づく民事の損害額の主張立証と、刑事告訴の回避交渉を、並行して行っています。
その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
まとめ
トレントの著作権侵害で警察から連絡が来た場合は、権利者側からの民事の書面とは異なる対応が必要です。
警察から連絡が来たら、対応する前にまず弁護士に連絡してください。
任意の事情聴取に応じる義務はありませんが、長期間拒否し続けると逮捕のリスクが高まります。
事情聴取に応じる場合は、弁護士と一緒に出頭してください。
供述調書に署名する前に弁護士に内容を確認してください。
弁護士が介入して刑事告訴の回避交渉を行っていれば、警察から連絡が来るリスクは低くなります。
当事務所では、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
警察から連絡が来る前に、弁護士に依頼して民事・刑事の両方について対応を始めることが、最も安全な選択です。
よくある質問
警察から電話がかかってきました。逮捕されるのですか。
任意の事情聴取の電話であれば、逮捕ではありません。ただし、弁護士に連絡してから対応してください。
警察からの事情聴取に応じなければなりませんか。
任意の事情聴取であれば応じる義務はありません。ただし、正当な理由なく長期間拒否し続けると、逮捕状が請求される可能性があります。弁護士と相談して対応してください。
事情聴取では何を聞かれますか。
トレントの利用状況、ダウンロードした作品、利用期間などについて聞かれることが想定されます。何を話すべきかは弁護士と相談してから判断してください。
弁護士に相談してから対応すると言ってもよいですか。
問題ありません。「弁護士に相談してから改めてご連絡します」と伝えることは、法的に全く問題のない対応です。
弁護士に依頼していれば警察から連絡は来ませんか。
弁護士が権利者側に刑事告訴を行わないよう交渉していれば、警察から連絡が来るリスクは低くなります。当事務所では、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
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