トレントでアニメ・ゲーム・映画をダウンロードした場合も請求されるのか|AV以外の著作物と開示請求
トレントの著作権侵害というとアダルト動画の印象が強いかもしれませんが、アニメ、ゲーム、映画、漫画などの著作物についても開示請求や損害賠償請求が行われることがあります。AV以外の著作物の場合に何が違うのか、請求の傾向や対応の考え方を解説します。
トレントの開示請求はAVだけの話ではない
「トレント=アダルト動画の問題」と思っている方が多いですが、トレントで共有される著作物はアダルト動画だけではありません。
アニメ(テレビ放送作品、劇場版作品、OVA)。 ゲーム(PC用ゲーム、家庭用ゲーム)。 映画(邦画、洋画)。 漫画(電子書籍版、スキャンデータ)。 音楽(アルバム、シングル)。 ソフトウェア(業務用ソフト、デザインソフト)。
これらの著作物について、権利者が開示請求を行い、損害賠償を請求するケースは増えています。
1. AV以外の著作物で開示請求を行う権利者の特徴
アニメ・映画の場合
アニメや映画の著作権侵害については、制作会社や配給会社が権利者となります。 大手のアニメ制作会社や映画配給会社が、代理人弁護士を通じて組織的に開示請求を行うケースがあります。
AV制作会社の場合は個別の制作会社ごとに代理人が異なることが多いですが、アニメや映画の場合は、複数の制作会社が共同で権利行使を行ったり、業界団体が調整したりすることもあります。
ゲームの場合
ゲームの著作権侵害については、ゲーム開発会社やパブリッシャーが権利者になります。 特にPC用ゲームはトレントで共有されやすく、海外のゲーム会社が日本国内の利用者に対して開示請求を行うケースもあります。
ソフトウェアの場合
業務用ソフトやデザインソフトの著作権侵害は、BSA(ビジネスソフトウェアアライアンス)などの業界団体が監視・権利行使を行っていることがあります。 ソフトウェアの場合、1本あたりの正規価格が数万円から数十万円と高額であるため、損害賠償の算定額も高くなりやすい傾向があります。
2. AV以外の場合、何が変わるのか
法的な枠組みは同じ
著作権侵害の成否や損害賠償の算定方法は、対象がAVでもアニメでもゲームでも同じです。 著作権法第114条の規定に基づいて損害額が算定されます。
「AV以外だから軽くなる」「アニメだから重くなる」ということは、法律上定められていません。
損害額の算定に影響する要素
損害額の算定に影響するのは、作品のジャンルではなく、次の要素です。
作品の正規販売価格(デジタル配信価格)と利益率。 ダウンロード回数(送信可能な状態にしていた期間に限定)。 アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)。
作品の正規価格が高ければ、1ダウンロードあたりの利益額も高くなるため、損害額が大きくなる傾向があります。
たとえば、1,500円の動画と、8,000円のゲームソフトでは、1ダウンロードあたりの利益額が異なります。 ゲームやソフトウェアは正規価格が高いため、同じダウンロード回数でも損害額が大きくなりやすいです。
心理的なハードルの違い
AV以外の著作物の場合、「アダルト動画の件を弁護士に話すのが恥ずかしい」という心理的なハードルはありません。
一方で、「アニメやゲームのダウンロードくらいで大げさなことにはならないだろう」と軽く考えてしまい、対応が遅れるケースがあります。
しかし、AV以外の著作物であっても、著作権侵害に対する損害賠償請求の法的な枠組みは同じです。 放置すれば訴訟を提起される可能性もあり、軽視すべきではありません。
3. AV以外で特有の注意点
正規価格が高い作品は損害額が大きくなりやすい
ゲームソフトや業務用ソフトウェアは、正規販売価格が1万円から数十万円に及ぶことがあります。
損害額の計算式は「ダウンロード回数×1ダウンロードあたりの利益額」であるため、1ダウンロードあたりの利益額が高ければ、同じダウンロード回数でも損害額は大きくなります。
ただし、権利者側が主張する販売価格がそのまま損害額の基礎になるかどうかは別の問題です。 物理メディアの販売価格ではなくデジタル配信価格を基準にすべきであること、販売価格ではなく利益額を基準にすべきであることは、AV以外の著作物でも同じように主張できます。
海外の権利者からの請求
映画やゲームの場合、海外の制作会社が権利者であることがあります。 海外の権利者が日本国内の代理人弁護士を通じて開示請求や損害賠償請求を行うケースでは、権利関係の確認(誰が日本国内での著作権を有しているか)が必要になることがあります。
権利者団体による組織的な権利行使
ソフトウェアの分野ではBSA、映画やアニメの分野ではCODA(コンテンツ海外流通促進機構)など、権利者団体が組織的に監視と権利行使を行っていることがあります。
権利者団体が関与している場合、個別の制作会社が単独で請求してくるケースとは対応の進め方が異なることがあります。
4. AV以外でも損害額は争える
当事務所の対応
対象がAVでもアニメでもゲームでも、当事務所が行う主張立証の基本的な考え方は同じです。
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
刑事告訴への対応
AV以外の著作物についても、権利者側が刑事告訴を予告してくることがあります。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
まとめ
トレントの著作権侵害は、AV以外の著作物(アニメ、ゲーム、映画、漫画、ソフトウェア等)についても開示請求や損害賠償請求が行われます。
法的な枠組みは対象がAVでもアニメでもゲームでも同じであり、著作権法第114条に基づいて損害額が算定されます。 正規価格が高いゲームやソフトウェアは、1ダウンロードあたりの損害額が大きくなりやすい傾向がありますが、権利者側が主張する金額がそのまま認められるとは限りません。
「アニメやゲームのダウンロードくらいで大事にはならない」と軽視して放置するのは危険です。 当事務所では、著作権法第114条に基づく具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
書面が届いた段階で弁護士に相談し、対応方針を判断することをおすすめします。
よくある質問
アニメやゲームをダウンロードした場合も請求されますか。 されることがあります。AV以外の著作物についても、権利者が開示請求を行い、損害賠償を請求するケースは増えています。
AV以外の場合、損害額はAVより高くなりますか。 作品の正規販売価格と利益率によります。ゲームやソフトウェアは正規価格が高いため、同じダウンロード回数でも損害額が大きくなりやすい傾向があります。ただし、権利者側の主張がそのまま認められるかは別問題であり、損害額は争えます。
海外のゲーム会社からも請求されることはありますか。 あります。海外の制作会社が日本国内の代理人弁護士を通じて請求を行うケースがあります。
アニメやゲームの著作権侵害でも逮捕されることはありますか。 過去に逮捕事例は存在します。当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針をとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
AV以外の著作物でも裁判で損害額を争えますか。 争えます。著作権法第114条に基づく損害額の算定方法は、対象がAVでもアニメでもゲームでも同じです。当事務所では、具体的な主張立証を行い、これまで取り扱った案件ではいずれも数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
お問い合わせ
あいち岡崎法律事務所
〒444-0864 愛知県岡崎市明大寺町字的場13-1 My Station Okazaki East 601
電話:0564-73-3487
FAX:050-3172-6485
受付時間:平日9:00〜17:00
アクセス:名鉄東岡崎駅南口徒歩30秒
