トレントで権利者側の弁護士から電話がかかってきた|電話口で何を言うべきか、何を言ってはいけないか
トレントの著作権侵害で、書面だけでなく権利者側の代理人弁護士から直接電話がかかってくることがあります。突然の電話に動揺し、その場で事実を認めてしまったり、支払いを約束してしまったりする方がいます。電話がかかってきた場合にどう対応すべきかを解説します。
突然電話がかかってくることがある
トレントの著作権侵害に関する書面を受け取った後、あるいは書面と前後して、権利者側の代理人弁護士から電話がかかってくることがあります。
電話番号は、プロバイダを通じて開示された契約者情報に含まれていることがあり、権利者側はその番号に直接連絡してきます。
多くの方にとって、弁護士から電話がかかってくるのは初めての経験です。 突然の電話に驚き、頭が真っ白になってしまうことは珍しくありません。
しかし、電話口での対応は、その後の交渉や裁判の結果に影響することがあります。
1. 電話口で言ってはいけないこと
「すみません、やりました」と認めてしまう
電話がかかってきた動揺から、反射的に「すみません」「やりました」と言ってしまう方がいます。
しかし、事実関係が整理できていない段階で侵害行為を全面的に認めてしまうと、後から「実はこの作品はダウンロードしていない」「家族が使っていた」といった主張をしにくくなることがあります。
「いくらですか、払います」と支払いを約束する
電話口で金額を告げられ、「分かりました、払います」と答えてしまう方がいます。
しかし、電話で告げられた金額は、権利者側が独自に設定した金額です。 裁判で認められる損害額とは大きな開きがあることがあります。
電話口で支払いを約束してしまうと、後から「あのとき払うと言った」と主張される可能性があります。
個人情報を追加で教えてしまう
電話で「勤務先はどこですか」「家族構成は」といった質問をされることがあります。
開示された情報に含まれていない個人情報を、電話口で追加で教える必要はありません。 特に勤務先の情報は、後に給与差押えの対象になり得るため、不用意に伝えるべきではありません。
2. 電話がかかってきたときにすべきこと
「弁護士に相談してから回答します」と伝える
電話がかかってきた場合、最も安全な対応は、「弁護士に相談してから改めて回答します」と伝えて電話を切ることです。
これは失礼な対応ではありません。 法的な問題について、弁護士に相談してから回答するのは当然のことです。
相手方の弁護士の名前、事務所名、電話番号、用件を確認し、「折り返しの連絡は弁護士を通じて行います」と伝えれば足ります。
その場で判断しない
電話口で判断を迫られても、その場で答える必要はありません。
「今すぐ回答してほしい」「今日中に返答がなければ次のステップに進む」と言われることがあっても、電話で設定された期限に法的な拘束力はありません。
電話の内容をメモする
電話を受けた日時、相手方の名前と事務所名、伝えられた内容(金額、期限、対象作品など)をメモしておいてください。 弁護士に相談する際に、この情報が対応方針の検討に必要になります。
3. なぜ電話をかけてくるのか
書面より電話の方が圧力が強い
書面であれば、読んでから時間をかけて考えることができます。 弁護士に相談してから対応することもできます。
しかし、電話は即座の対応を求められるため、冷静に考える余裕がなくなります。 権利者側がわざわざ電話をかけてくるのは、書面だけでは応じない利用者に対して、直接的な圧力をかけて早期の支払いを促す目的があることがあります。
電話での発言は後で使われる可能性がある
電話口で「やりました」「払います」と言った場合、その発言が後の交渉や裁判で利用者にとって不利に働く可能性があります。
だからこそ、電話口では事実の認否も支払いの約束もしないことが重要です。
4. すでに電話で何か言ってしまった場合
言ってしまった内容にもよる
すでに電話で事実を認めてしまった、支払いを約束してしまった、という場合でも、それだけで取り返しがつかなくなるわけではありません。
電話での口頭の発言は、書面での合意や裁判所の判断とは異なります。 「払うと言った」ことが直ちに法的な支払義務を確定させるわけではありません。
早めに弁護士に相談する
電話で不用意な発言をしてしまった場合は、その内容を含めて弁護士に相談してください。 発言の内容と状況によっては、対応の余地があります。
時間が経てば経つほど、「あのとき電話で合意した」という権利者側の主張が既成事実化しやすくなります。 電話の後、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
5. 弁護士に依頼すれば電話はかかってこなくなる
弁護士に依頼すれば、権利者側に受任通知を送付し、以後の連絡はすべて弁護士が窓口になります。 利用者本人に電話がかかってくることはなくなります。
電話での直接のやり取りが不安な方にとって、弁護士に窓口を切り替えることは、精神的な負担を大きく減らす効果があります。
そのうえで、提示された金額が適正かどうかを検証し、対応方針を判断します。
当事務所では、著作権法第114条に基づき、作品の正規価格、ダウンロード回数、アップロードによる拡散可能性(共有比率や経過日数等)を踏まえた具体的な反論を行っています。 その結果、これまで取り扱った案件ではいずれも当事務所の主張する計算方法が裁判所に採用され、数万円から十数万円程度にまで減額された解決に至っています。
もっとも、こうした反論が裁判所に採用されるかは、主張立証の具体性と精度に左右されます。
当事務所では、権利者側に対し刑事告訴を行わないよう交渉する方針を一貫してとっており、介入後に刑事事件として立件された案件は一度もありません。
まとめ
トレントの著作権侵害で権利者側の弁護士から電話がかかってきた場合、電話口で事実を認めたり、支払いを約束したり、個人情報を追加で教えたりしてはいけません。
「弁護士に相談してから回答します」と伝えて電話を切り、相手方の名前・事務所名・用件をメモしておくのが最も安全な対応です。
電話口で判断を迫られても、その場で答える必要はありません。 弁護士に依頼すれば、以後の連絡はすべて弁護士が窓口になり、本人に電話がかかってくることはなくなります。
すでに電話で何か言ってしまった場合でも、それだけで取り返しがつかなくなるわけではありません。 できるだけ早く弁護士に相談して、対応方針を検討してください。
よくある質問
権利者側の弁護士からの電話に出なければなりませんか。 出る義務はありません。ただし、何度も電話がかかってくることがあります。弁護士に依頼して窓口を切り替えれば、電話は弁護士宛てになり、本人にかかってくることはなくなります。
電話口で「払います」と言ってしまいました。もう撤回できませんか。 電話での口頭の発言は、書面での合意とは異なります。「払うと言った」ことが直ちに法的な支払義務を確定させるわけではありません。早めに弁護士に相談して対応方針を検討してください。
電話で「勤務先はどこか」と聞かれました。教えるべきですか。 教える必要はありません。開示された情報に含まれていない個人情報を、電話口で追加で教える義務はありません。
電話で「今日中に回答しなければ訴訟を起こす」と言われました。 電話で設定された期限に法的な拘束力はありません。「弁護士に相談してから回答します」と伝えて電話を切り、弁護士に相談してください。
弁護士に依頼すれば電話はかかってこなくなりますか。 はい。弁護士に依頼すれば受任通知を送付し、以後の連絡窓口はすべて弁護士になります。本人に直接電話がかかってくることはなくなります。
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